なっこ

帰ってきてダーリン!のなっこのレビュー・感想・評価

帰ってきてダーリン!(2016年製作のドラマ)
3.2
浅田次郎さんの『椿山課長の七日間』原案。韓国版リメイク作。

原作既読。日本の映画版を少し見たけれど、そちらも面白そうだった。映像化作品には他にテレビドラマ版もあるみたい。

逆送されるのはもうひとり子どもがいた設定から男性二人に絞ってしかも男女を入れ替えている。そして、課長の邪婬の罪である女性も登場しない。それぞれの仕事がデパートの課長とヤクザなところは変えていないし、大筋は残して、死者から現世に残された生者へ愛のメッセージを伝えようとする、根底にある作品のメッセージは共通しているように思える。むしろエンタメ色を強くし、現代的にアレンジしてエピローグ含めて20話分をしっかり展開していく力業には感動する。見せたいもの、見たいものがしっかり噛み合っている(復讐要素やアクションシーンなど)韓国ドラマらしい面白さがある。

とても不思議なんだけど、魂の入れ替わりや内面と外見の不一致をすんなり受け入れてしまう感覚は一体何なのだろう。他人の中に誰か別の人の魂が宿ることに肯定的なのは、東アジア圏に共通している感覚なのだろうか。逆送の期間は、日本の初七日、死後の七日間からドラマのワンクールである約2ヶ月に変更されてしまっているけれど。お盆やお彼岸といった魂が戻ってくる期間があることを考えれば、具体的な肉体を伴っていても受け入れてしまえる感覚なのだろうか。「正体の秘匿、復讐の禁止、時間厳守」この3つは原作同様厳守される。守らなければ起こる“怖いこと”は、ちょっと違ったようにも思うけれど。

ホンナンを演じる女優さんの演技が素敵だった。とても素敵なプロポーションなのにハイヒールを履きこなせなかったり、力自慢のはずが全くパンチが効かなくなってたり、ところどころモト男の要素が見え隠れしながらも愛らしい女性であるところのバランスがとても良かった。そして彼女に抱くこの感情は「義理」だと言い聞かせ、妹分として守ろうとするスンジェの眼差しもちょっと切なくて素敵。

現世ではとても出来なかったことを、全く別の生を与えられてやり変えることができたら、そんな風には思うけれど、それを達成してしまったら現世に未練が残って長居してしまいそうだ。生きているうちにやっておくべきことは多い。けれど現世は生者の居るべきところ死者は去っていくべきだということも原作同様大事な部分だと思った。むしろ今を精一杯生きなきゃという思いにかられた。主人公がデパートのために奮闘するところと家族と過ごすことの両方を描いたことは、どちらも現代韓国を生きる人にとって大事な部分なのだと思わされた。日本版はむしろ、残された家族や元恋人との話に傾いていたように思うから。

話が進むに連れて、一見現世では全く接点のなさそうな男二人が、実はとても深い縁で結ばれていたことを知っていくお話でもある。身近にいてくれる人は、きっと深い縁で結ばれている、そんな風に周りの人を大切にしていきたくなる、素敵なドラマでした。