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マンダロリアンのAyaxのレビュー・感想・評価

マンダロリアン(2019年製作のドラマ)
4.6
ディズニープラスで「マンダロリアン」鑑賞。
前提として私はマニアではなくて、スター・ウォーズ観てる度合いで言うと、正式なナンバリングタイトル(エピソード4→5→6→1→2→3→7→8→9)とスピンオフの「ローグ・ワン」と「ハン・ソロ」を一応観てるという感じ。「クローン・ウォーズ」とかの知識は無。
そういう人間が「マンダロリアン」シリーズを観てみたところめちゃめちゃ面白かった。とりあえず、画面のどこかにベビー・ヨーダが映ってるシーンはそれだけで500点満点。かわいいの破壊力がすごい。スター・ウォーズを全く知らない人にどう見えるかわからないけど死ぬほどかわいい。これは誘拐されてしまうわ。
このシリーズの評判はシーズン1の時から高くて、宇宙子連れ狼とか宇宙西部劇とか言われていてなるほどその通りだなという感じ。私、子連れ狼ってガキ使のコントしか知らないけど。
ライトセーバーとかジェダイとかほとんど出てこないのに音楽や場面転換の仕方や乗り物やキャラクターがちゃんとスター・ウォーズしてた。
ドラマとして一話毎にちゃんと面白いし最終話に向けて盛り上がってくように出来ててさすが信頼と実績のジョン・ファヴロー(「アイアンマン」監督で秘書のハッピー役、「シェフ」監督兼脚本兼主演)。
特にエピソード8全体とか6の暗闇の戦闘シーンとか面白かった。悪役は見たことあると思ったら「ブレイキング・バッド」のヤバいチキン屋の人だ。不気味(ほめてる)。キャラ役の人はすごいがっしりしててアクションシーンの説得力増し増し。元プロ格闘家で女優になった方らしい。
本編と別で制作舞台裏の動画も観られるのだけどそれもめちゃめちゃ面白い。多分映画ほどの予算はないから(それでもアジアのドラマの比にならないくらい潤沢な予算と制作期間があると思う)、スタジオで撮影してるようなんだけど、グリーンバックじゃなくて、巨大なスクリーンに背景を写して撮影していて、グリーンバックだとマンダロリアンのヘルメットに写る風景を後から描かないといけないんだけど、背景ありで撮影してるから写り込み大歓迎でほとんど修正しなくていいと言ってた。
最新の技術でもっとシュッとした絵作りもできそうなのにパペット感は残していて、その塩梅もスター・ウォーズらしさなんだけど、ベビー・ヨーダとかは目、耳、口、手、歩かせるの各パートに一人ずつ担当が付いていてバンドみたいに息を合わせて操作してるんだって。
スター・ウォーズとして新しい表現に挑戦する場合も「クローン・ウォーズ」の監督だったデイブ・フィローニさんがそれはスター・ウォーズとしてありかなしかをジャッジして、世界観を壊さないようにしていて、その中で各エピソードの監督は自由に撮影したらしい。
そして各エピソードの監督同士が尊敬し合っていて、特に「ライオン・キング」と「ジャングル・ブック」でディズニーでCGを使う経験が豊富なジョン・ファヴローは絶大な信頼を寄せられてるように感じた。オスカー獲ってるタイカ・ワイティティだっているんだよ。
すごく頭が良い人たちが真摯に取り組んで作ったのが伝わってきて、例えばスター・ウォーズの過去作をちゃんと観て把握して辻褄が合うように考えるのは当たり前で、プラスαでジョージ・ルーカスが影響を受けた西部劇、日本の侍映画、黒澤映画を観まくって研究したらしい。
みんなスター・ウォーズが大好きで、参加できることに興奮していて、敬意を払っていて、その姿勢がこのドラマを生んだんだなあと思った。
ナンバリングタイトルじゃなくて(しがらみが少なそう)実力のある人が作るとこんなに面白いんだなあ。
こんなシリーズが月額700円(初月無料)で観られるなんてどうかしてる。スター・ウォーズをちょっとでも面白いと思ったことある人は観た方が良いと思う。
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