Cisaraghi

秋の童話のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

秋の童話(2000年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

コテコテな濃い感じを想像して見始めたら意外に淡々としていて、どこか懐かしさを感じるドラマ。秋の童話という題名にふさわしく、秋の情景が私の見た韓国の映画やドラマの中で随一に美しく、音楽と相俟って詩情を湛えている。二度と見たくないくらい辛くてたまらないドラマなのに、秋になるとまた見たくなる。
 子供時代に兄妹が住んでいた家の近辺、木立の中に建つリゾートホテル、船で対岸に渡る漁村の家、廃校になった小学校を利用したアトリエ兼住居など、選び抜かれたロケーションがどれも素晴らしい。

お話は最初の展開からどうしようもなくツラい。とにかく主人公がほぼ毎回静かに涙を流す。泣きの演技が大半を占めるのではないかとすら思えるソンヘギョ、この時まだ19歳って嘘でしょ?とても大人びて見える。涙がきれいなソンスンホン25歳も同じく。ウォンビン23歳は、大人の中に子供がひとり大人の役で演技しているように見える。だからスーツが似合わない。童顔に茶髪、ブカッとした黒スーツに太いプラチナチェーンってヤンキーか。もちろん、この子役の演技は上手い、ゆえにウォンビンの出世作だが、ウォンビンはこの後出演したガン&トークスとかフレンズの等身大の役の方が好き。
 子供時代のウンソはソンヘギョより浅田真央ちゃんに似てる。
 ソン・スンホンが、優柔不断ではあるが、攻撃性の所在を全く感じさせない品がよく紳士的なキャラクターにハマっている。ウォンビンと対照的に、あくまでもどこまでも口調や所作がソフトなところがよい。ルックスも洗練されている。私が知っている中では最も都会的な印象を受ける韓国の俳優さんだという気がする。

しかし、ヒロインのこの上なく恵まれた境遇から突然奈落に突き落とされるという現実にはほぼ起こり得ない酷な状況、それだけで十分不幸で可哀想なのに、その上不治の病に冒される運命とか、どうしてそこまで完膚なきまでに不幸にしてしまう韓国ドラマぁ?泣。これぞドラマでしか味わえないドラマチックな悲しさではあるけれど…。
 最後がああなるのは、キリスト教の強い韓国だけに、2人は天国で結ばれました的な救済の仕方なのだろうか?
 
2000年に作られた既に一昔前のこのドラマだが、この手のドラマの作りはさすがにもう韓国でも古いのではないのではなかろうか。そのレトロ感を楽しむのも一興。
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