りゅっくサック

3年A組ー今から皆さんは、人質ですーのりゅっくサックのレビュー・感想・評価

1.2
突拍子も無い設定で1話から惹きつけられました。
ところが2話から同じ展開の繰り返しなのはビックリした。
いじめ被害者生徒が自殺する原因になったねつ造動画は、Aが拡散してBが撮影→C→D→真犯人Eが!って繰り返し。
毎回ラストで菅田将暉演じる柊先生が説教。

名も知らぬ加害者が毎回フィーチャーされて
「実は僕・私はこんなに悩んでたの!辛かった!だから…つい…!」
と涙の独白しても「あ、はい(´・ω・`)」としか。

菅田将暉のヤンクミ的な見せ場の説教は、ワイドショーの評論家みたいな一般論でしかない。
会話劇も説明っぽくて「ん?何をグダグダ話してんの?」と飽き飽きしてくる。

この脚本家さんの前作仮面ライダービルド(2017)でもあった
「動かしたいメイン展開の為に使い捨て設定を乱造」はもうそういう作風なんでしょうね。
(ベルムズ、大友康平、唐突に動画解析する瑠奈)
アクション俳優関連ネタもライダー俳優集めた内輪ネタ?仲良いですね。

決して誠実とは言えないと思います。
勢いと見せかけが命、止まったら死ぬマグロみたいなドラマだなぁと。

長々と種明かしを引き延ばし、ネットの悪意を描写し続け最終回は
「誰が犯人とか関係ねぇ!ネットで中傷したお前らのせいで死んだんだよ!」
これまで登場人物達に問われていた責任を、ただの演出だったSNSと視聴者にメタく突きつける論点すり替え。

『身近な学校のいじめよりも、ネットでの誹謗中傷が自殺の原因』ってねぇ…
少しでもいじめを体感した人なら全く同意しないですよ???
陰湿な集団いじめしてた3年A組の生徒たちが、被害者ヅラするのも気持ち悪くてしょうがないです。

締めは「私達に命をかけて大切なことを教えてくれたぶっきー先生…」と安易な感動演出。
他人から与えられた価値観を正しいと鵜呑みにするお前らがカルト教団に見えて怖いわ!
それにお前らヘラヘラあいつとあいつが付き合ったとか笑い合う資格ねぇからな!?
こいつらの妬み嫉みの根本を解決しなきゃ同じ事の繰り返しじゃないですかね。

景山澪奈の自殺の解明は目的ではなく手段で、2ヶ月以上かけてやって来た誰が撮った?撒いた?依頼した?は
製作側の誰かが世間への不満をぶつけたかっただけですか?
「いじめを苦にした未成年の自殺」を踏み台に不特定多数に綺麗事をスピーチしたかっただけなの?
ふざけるな。

インターネットの悪意描写は的外れすぎて不快です。
現実の2ちゃんねるだってTwitterだって個人情報や隠し撮りなんか上げたら
「それは駄目だろ!」って上げた奴を叩く人は一定数いますよ??

おまけにネットで誹謗中傷していた人間として主に描写される、引きこもりのアニメオタク。
いやこれこそ「こういう奴って2chとかで中傷してんだろ?」っていう【悪意にまみれたナイフ】ですよね?笑
そのオタクも最後ネットを閉じて更生しました!みたいな安易な描写したり
「こういう人はこうした方がいい」っていう押し付けがましいおじさんの偏見が見て取れます。

所謂老害おじさんの「最近の若い奴は〜すぐネットで悪さすんだろ〜?俺たちの頃は…」って飲み屋の愚痴とやってること変わらないんですよ。
そういう話なら公共の電波じゃなくて、鳥貴族かどっかでやっててください。

例えば「景山澪奈はネットの応援を励みにしていた」というような中傷前後の対比すらない。
あるいは「頭のいい生徒は空き時間ネット学習していたから成績が良かった」
「柊先生に感銘を受けた人々のクラウドファンディングで校舎が修復できた」
とかネットの良い側面を描くバランス能力がない辺り、ネットをよく知らないんだな〜と思います。

これは完全に僕の憶測と思い込みですけど、この脚本家の武藤さんって方SNSを始められたのがここ2〜3年の話なんですよね。
どうも他の方には「SNSなんか見ない方がいい」と止められたらしいんですが。
それでエゴサとかしてるうちノイズも入ってきて「あ、こういうことか…」ってなったと思うんですよね。
仮面ライダービルドも賛否両論真っ二つでしたから、なんか見てたのかな。
最終回のスピーチは武藤さんの心の声に聞こえてしょうがないんですよ。

しかし菅田将暉先生は最後まで理想論ばかりで具体的な模索はしないんです。
何となく知った風な口ぶりで問題提起した感じになってますけど
菅田将暉と田辺誠一が裁かれる様子も無いので反面教師すら機能出来てない。
細かい事はさておき良い感じに丸めて感動のクライマックス!ぽいっ!は卑怯。
「言いたいことだけ言ってそれ?」っていう、説教臭いのはそれが原因だと思います。

そしてニクいのが『このドラマに賛同できない者は、“柊先生の言葉が伝わっていないナイフを持つ側の人間”』という図式を作っていること。
ドラマを非難すると、人間性を疑われてしまう。

ナイフを自分で見極めることも大事ですが、時には逃げることも同じくらい大事だと思います。
またナイフで刺された事がきっかけで動き出すことがあるのも事実。
NGT48の事件なんかまさにそうですし
海外ですがミズーリ州の黒人少年射殺事件なんか、ネットで拡散されてデモにまで発展したわけですよね。

この何となく社会問題提起した風なドラマに「泣いた!感動した!」と感じた皆さんが
「ネットで悪い言葉を使うのやめようぜ!ポジティブポジティブ!」と同じことを言ってる世の中の方がよっぽど怖いです。

☆1.2はクロマニヨンズの新譜とオフショット風のエンディングが個人的に好きだから( ✌︎'ω')✌︎
役者さんは頑張ってます、菅田将暉さんと上白石萌歌さんも悪意に汚されていく様が良かった。
こういうテーマの物を今の時代にやる気概は素直に凄いと思います、ただ作り手がズレた倫理観だっただけで。

まとめると『いじめ、ネットの善悪を扱う真剣さが足りない、新鮮さが足りない。』
ってことになります。

最後にいじめを題材にしたAKB48の隠れた名曲「軽蔑していた愛情」からこの歌詞を送りたい。
“大人は訳知り顔して
動機を探しているけど
ピント外れたその分析は
笑えないギャグみたい”