何もかもが究極的

フルーツ宅配便の何もかもが究極的のレビュー・感想・評価

フルーツ宅配便(2019年製作のドラマ)
1.1
風俗、そしてアンダーグランドで生きる人々の生活という普段は不謹慎とか下品と敬遠される世界だけに、逆にそれを覗いて見たくなる。そこにいる人間は、思ったより自分達と変わらず普通で人間らしいという意外性にも安心させられる。
だが、このドラマにはそこはかとない怖さがある。作中で描かれる「いい話」は、業界の考え方に染まり自分は虐げられて当たり前だと思う側から見た奴隷目線の「いい話」であるような気がする。松尾スズキが、任侠道で風俗嬢を助けても、そこには歪んだ主従関係が見え隠れして、諸手を上げて喜べない。
古き良き日本の、男性目線の愛情表現を描いて、そのノスタルジーを娯楽として楽しめる層に売り込むのはわかるが、ある種の洗脳の上で成り立つ「いい話」の歪みを実際に知っているだけに、これで良いのか?と疑問が生まれる。
ブラック企業に勤め、上司から散々こき使われても、ミスがあればダメな自分のせい、上司は言い方は不器用だけどいい人みたいな、洗脳工場で聞くいい話をドラマ化した感じが凄いする。
地獄絵図も外から見れば、他人事で娯楽として成立するという話。
あと松尾スズキは自分の容姿(キャラ)に頼りすぎて、演技をしていない。彼が演じているはずのミスジは、どこにもおらず、ただ松尾スズキがコントをやっているようにしか見えない。芸がない。