あまね

刑事ゼロのあまねのネタバレレビュー・内容・結末

刑事ゼロ(2019年製作のドラマ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「京都府警に時矢あり!」こう謳われた敏腕刑事が捜査中に記憶を失い、刑事として生きた20年をきれいさっぱり忘れてしまう。
一流刑事の鋭い顔は消え、代わりに現れたのはどこか惚けた三枚目。
そんな最悪なタイミングで時矢とコンビを組むことになったのは、新米刑事の佐相。
ところがこの佐相ちゃん、実は時矢刑事の大ファン!
記憶を失った時矢自身よりもかつての《彼》を知る佐相は、憧れの人の記憶喪失を知り愕然とするも、彼が刑事を続けられるようサポートを決意。時矢に関する膨大な知識を元に『時矢刑事の取説』として彼を支えるのである。
こうして、ベテランの『記録』を手にした新米刑事と、『記憶』を失い新米同様になったベテラン刑事が、共に事件に挑むことになったのである。

記憶を失い、凡人もしくは新人時代にまで逆戻りしてしまった一流刑事――と言っても、悲壮感や重さはない。
記憶がないことであたふたしたり、うっかりしたりすることはあるけれど、致命的な失敗をしたり、自身の無力さに打ちひしがれたり……そんな展開はなく、記憶を失っても残る刑事のカン、記憶と引き換えに冴えわたるようになったひらめきを駆使しながら、あたふたしつつもきっちり事件を解決し、『京都府警に時矢あり!』を不動のものにしていく展開だ。
ピンチになれば、しっかりものの佐相ちゃんがすかさずフォロー! 凸凹コンビっぷりをみせてくれる。
記憶を失って新生したふんわり刑事が、それでもやっぱり無双する。そういう展開は、どこかラノベ的だ。

尚、男女のバディものだが、恋愛色はほぼ無い。色っぽさはなく、どちらかといえば兄妹的なやり取りかもしれない。
真面目で辛口な佐相ちゃんはいつもきっちりとしたスーツ姿で華やかさはないものの、横顔は抜群に綺麗で、何度も見惚れた。

軽く一話完結で楽しめる面白さがあるのだが、終盤の展開がよくあるパターンになってしまったのが少し残念。
センセーショナルな事件となると、どうしてもサイコパス絡みになりがちなのは、わからなくもないが……。
事件そのものは二転三転するけれど、動機や犯人の行動に矛盾を感じる点がそこそこあり、推理モノではなく「刑事モノ」を味わうドラマだと感じた。
細かいことは突っ込まず、刑事モノを楽しむが勝ち! 

ぼんやりした刑事が無双して事件を解決する刑事モノ。純粋な推理ではなく、「刑事」を楽しみたい。そういう人におすすめしたい。

ところで個人的にすごく好きなのが、OPで時矢(記憶喪失前)にかぶさるように時矢(記憶喪失後)が現れる場面。
同じ役者さんなのにこんなに顔も雰囲気も変わるんだと、毎回感動した。
あまね

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