Mrsフロイ

巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲のMrsフロイのレビュー・感想・評価

3.0
随分と遠くへ来てしまったものだ…

原作真山仁『売国』は2014年の作品。
ここで描かれる検察の特捜部は、シンプルに正義感に溢れている。ドラマの主人公玉木宏も一点の曇りもない検察の正義を振りかざして、巨悪の政治家に立ち向かう。
我々庶民がそうあって欲しいと思う検察の姿その物。

現実は今や法の番人である筈の当の組織が、政治家の意のままにその思惑を「忖度」し、司法取引という名の判断に動く。
原作の名づけた「売国」という概念がガラガラと音を発てて崩れ堕ちる。
ほんの数年での激変なのか、それとも本作は放映当時既にファンタジーだったのか。

誠に「事実は小説より奇なり」とは言い得て妙とはこの事。
胸の中を冷たい風が吹き抜ける観賞後となった。
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