真田ピロシキ

ボイス~112の奇跡~の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ボイス~112の奇跡~(2017年製作のドラマ)
3.9
ウクライナの嗅覚捜査ドラマの次は韓国の聴覚捜査ドラマを観賞。主人公グォンジュの聴覚は十分異能レベルであるが演出は大人しいのでスニッファーの嗅覚に比べると現実的なものと感じられる。それとグォンジュは司令塔で事件を解決するのはチームである点。W主人公のジニョクをはじめとしたチームや地味に交番勤務のモブ警官の出番まで描かれてる点で突飛なようで意外と地に足をつけたドラマの印象を受けた。

ストーリー面では単発の事件があるのとは別にドラマ全体で語られる連続殺人事件があって、正直これは話が大袈裟すぎて好みじゃないしサイコ犯人像もその手の話をある程度見てるとデジャヴを覚える。権力に守られてる時点でサイコ殺人鬼としても二流感が拭えない。もっとも絶対者を気取りながら庇護者すら殺しわざわざ警察まで挑発しに行って捜査の手を招いた自己破滅型なのは己を分かっていない点も含めて面白い所だったが。

それよりももっと小さな事件。サイコ犯人とは関わりが薄い、或いは一切ない庶民の事件の方に熱量を感じ、調べてみると最初の誘拐事件や児童虐待事件は事実をモチーフにしたものだったそうだ。救えなかった被害者をせめてドラマで救い現実の犯罪に警鐘を鳴らしたこのドラマはなかなか偉いのだと思う。知って見ると最後に流れる字幕が感慨深い。