岡田拓朗

あなたの番です-反撃編-の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

あなたの番です-反撃編-(2019年製作のドラマ)
1.5
賛否両論あると思いますが、個人的にはなしよりのなしでした。笑

普段ドラマを観ない層まで大きく巻き込んでいった点は純粋に凄いと思う。

ただ、似たような内容、展開で巻き込み力、話題性という意味で、今年のドラマで同じく凄かった『3年A組』を引き合いに出して比較すると説明しやすいので出すと、内容的には断然『3年A組』の方がよかった。

理由としては、『3年A組』は痛烈なメッセージ性とテーマの明快さ、伏線をちゃんと回収していくラスト、一人一人のキャラの意味づけと人間描写、全てがしっかりとなされていて行動の動機もほとんどが明らかになっているから。(そのスタンスに賛否両論あるにせよ)

それらが本作ではほぼ皆無だった。
独特なキャラの造形と話題性のあるキャスト陣の起用、伏線をこれでもかというくらいに張りまくる意味深な展開だけで突っ走ったイメージで、それで視聴率も評価もトレンドもとれることを証明したのが恐ろしく、色んな意味でやばい作品だと思った。

現代のバズる法則が明らかになったといっても過言じゃなかったし、それをしっかり抑えていたのがまた恐ろしい。秋元康やべえな!

曲がりなりにも2クール分、約半年間観てきて、あのラストを迎えられると脚本や作品としてはもちろん評価できないわけで、(完全に主観の好みも入りますが)評価できる/したいと思ったのは、黒島ちゃんを演じた西野七瀬の躍進、絶対サイコパス役向いてると思ったのがまんまハマってくれたこと、それぞれのキャラをうまく演じた俳優(特に奈緒)のみで、それ以外は作品として評価できる要素がほとんどない。

これが評価されてしまうと、本当に内容なくてもバズったら勝ちみたいになっちゃうし、それこそこれが現代社会の縮図かよと思ってしまった。笑

伏線回収、人間的描写、そこからのメッセージ性。
福原充則脚本と言えばの『愛を語れば変態ですか』と近しいよくないところが如実に出てた感じがする。
まあドラマやからこれでいいのかな…福原さんは持たれてる観点や考え方、世界観は独特でおもしろいのに、脚本や演出、ストーリーテリングが微妙すぎて、その分メッセージ性も弱く、拍子抜けしちゃうのがもったいない。

Huluの番外編で、人間描写や色々と明らかになりそうやけど、そうしちゃうのって地上波のテレビドラマ的にはどうなのだろうか。
日テレ内で全てを完結してくれよと純粋に思った。
近くだと収まるかあたふたしてた『グッドワイフ』ですら、めっちゃ綺麗におさめてくれたのに(傑作)、ここまで引っ張っておいて(2クール分も枠を使っておいて)核心はHulu行きというのがさすがにないなーと感じました。笑
嫌な予感が見事に的中してしまった。

こうなるならせめてミステリーに寄せ切って、どんでん返しからの伏線回収を徹底して欲しかった。テーマ性は持たせなくていいから。
あれだけ色々と伏線張るなら、そりゃあ『キサラギ』や『カメラを止めるな!』張りの伏線回収を個人的には求めていたわけです。笑

それなのに、『スマホを落としただけなのに』の方がまだマシなくらいのレベル感で非常に残念でした。
人気俳優の共演とやばキャラの共存とそれらの暴走だけで終わっちゃった感じ。

犯人を黒島ちゃん以外に見せることに徹したキャラの作り方とか展開は上手やったけど、それも長く引っ張りすぎたせいで、途中から薄々気づいちゃうという。笑
おそらくドラマやから(犯人探しに至るまでの時間の余白があるから)ここまで話題になって評価もわくどき感から自ずと高まっていったと思うんですが、映画ならわりと酷評になっていた作品ではないかと。

普段あまり作品のよくないことを中心に伝えることはないのですが、これがテレビドラマの一般解になってしまったら、それこそ本当にドラマ観たくなくなるので、書いておきたいなと思って、わりと本音ベースで色々と書きました。
まあ世間にはこれが求められてるんですかね…どうなんでしょう。

キャストだけは本当に最高でした。
特に西野七瀬と奈緒がよかったですね!(西野七瀬はただただ好きなだけですが。笑)
冒頭にも書きましたが、やっぱりサイコパス役が絶対ハマると思ってた!笑
これでアイドルから女優に、完全に切り替わった認識を持つことができた。

アイドルから女優でいくと、真野恵里菜や前田敦子、深川麻衣みたいな形の方がもちろん個人的には好きなのですが(この表現はわかる人にはわかってもらえるはずです)、女優西野七瀬をこれからも楽しみにしていようと思わせてくれて、それだけは観続けていてよかったです。
岡田拓朗

岡田拓朗