こたつむり

ウルトラセブンのこたつむりのレビュー・感想・評価

ウルトラセブン(1967年製作のドラマ)
5.0
★ 血を吐きながら続けるマラソンはもう嫌だ
  星を見るために立ち止まりたい

ウルトラマンよりウルトラセブン派です。
何しろ『ウルトラセブン』の根底にあるのは“怪奇趣味”。様々な宇宙人が地球を狙っている…という設定が物語全体に“湿っぽさ”を与え、ジトリと怖い話が多いのです。

それを増幅したのがマンガの存在。
桑田次郎先生が執筆した『ウルトラセブン』は本編以上に奇妙で怪奇な筆致で、僕の心にググっと刺さりました。

あと、怪奇もので大切なのはヒロインですね。
ひし美ゆり子さんはウルトラシリーズで最も美しく、華やかさが別格でした(彼女が髪を梳かしている後ろにペガッサ星人がいる情景は屈指の名場面です)。

まあ、そんなわけで。
正直なところ、全てのエピソードが好きな作品。泣いて馬謖を切る気持ちで選んだベスト5はこちら。

第3話「湖のひみつ」
ピット星人の色香に騙されるモロボシ・ダンも良いし、何よりもエレキングの造形や強さが最高。子供向けの絵本でも選ばれる“分かりやすい”脚本も魅力のひとつです。

第9話「アンドロイド0指令」
原作よりもコミカライズされたマンガの方が絶妙だったエピソード。チブル星人の“戦闘に向いていない造形”にリアリティを感じます(第1話のクール星人も同じ立ち位置ですね)。

第14話~15話「ウルトラ警備隊西へ」
ウルトラシリーズ初の前後編。当時の子供たち(自分よりも年上ですけど)はキングジョーの強さに絶望したとか。金色で無機質な造形、分離合体する機能も最高です。

第39~40話「セブン暗殺計画」
これまた前後編のエピソード。ウルトラマンの最大のライバルがバルタン星人ならば、ウルトラセブン最大のライバルはガッツ星人。十字架へ磔された場面は、画面の紅さも含めてトラウマものです。

第48~49話「史上最大の侵略」
敵であるゴース星人やパンドンは印象が薄いのですが、モロボシ・ダンとの別れを描いた最終回は外せません。アンヌ隊員との場面は号泣必至。1年間の積み重ねがあるから説得力が違います。

最後に余談として。
幼い頃の愚息に本作を見せたら、第1話の冒頭で“ガン泣き”。確かに人間がいきなり消える場面は怖いですよね。昭和の手触りも含めて、今どきの幼児には向いていないのかも。
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