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ホジュン ~伝説の心医~のruublueのネタバレレビュー・内容・結末

ホジュン ~伝説の心医~(2013年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「ホジュン 伝説の心医」
ホ・ジュン (キム ジュヒョク)
妻  ダヒ(パク ウンビン)
医女 イェジン(パク ジニ)
因縁のライバル 
   ユ ・ドジ(ナムグン ミン)
⭐️地上波で2回目の視聴済
  2019年8月〜2020年3月


自分の中では前のめり度の深い作品。韓国時代劇で3本の指に入る作品と思っています。主人公のホジュンは若い頃、自身の生い立ちに絶望、街の荒くれ者となり喧嘩を繰り返し、密貿易に手を出す程だったが、人生の師と出会い人の心に寄り添える“心医”となる事を決心する。しかし道は険しいものだった。

運命を知り運命に立ち向かう。人の出会いに助けられ、降り掛かる幾多の困難に黙して立ち向かう事が生きる道と知るヒューマンドラマ。後に医書「東医宝鑑」の編纂に命を賭けたホジュンの生涯を描く歴史ドラマです。



主人公のホジュン以外の役柄一人一人にもしっかりとしたキャラクター設定がなされています。因縁のライバルとなるユ・ドジの悪意に満ちた策略。自分が登る筈の出世への道や父親からの愛情をホジュンが搾取していると考えるユ・ドジの憎悪の根っこにあるものとは。。。


罪を憎まず罪を「哀れ」と捉える様な懐の深い脚本を書けるのは韓ドラのお家芸じゃないかと思います。常に憎悪の奥にある物を考えさせられ、賛同は出来ないけれどどこか共感させられる様な上手い創りです。ドラマの回を重ねるに連れて、ホジュンに立ちはだかる壁はさらに強大なものに移り代わって行く様も長編ドラマならではの面白さです。


そしてラブラインを大事に扱うのも、長編を飽きさせない韓ドラ時代劇の厚みとも言えるでしょう。医師の道を目指して邁進するホジュンに尊敬の念を抱き、右腕となってサポートするイエジンの愛の描かれ方に多くの時間が充てられている。何も求めず、叶わぬがゆえに美しい孤高の愛を表現するイエジンの姿は険しい岩場に咲く花の様。奥さんのダヒの持つ大地のような暖かさとは異質の愛を批判出来る人は居るのだろうか。考えさせられる見応えのあるドラマです。


総じて韓国時代劇は作りが上手くいつも感心させられるのですが、このドラマは韓ドラ時代劇の見本のような作品だと思います。主人公以外の全てのキャストに与えられていた個々の恋愛のゆくえや立身出世などの進捗がドラマ終盤でそれぞれの花を咲かせて収まるべき処に収まるのも粋な計らいで、観ていて笑顔になってしまいます。


話数が多い作品ですがイ・ビョンフン監督の描くドラマは東洋人の宗教観や文化的発想からと思われる繊細さと奥ゆかしさの原点の様な物に触れさせてくれる良作揃いだと思います。その時々の心情風景に寄り添った音楽も心潤わせてくれました。日本人の持つ優しさとはベクトルの違う優しさを沢山見つける事の出来る良質なドラマです。
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