なっこ

ノーサイド・ゲームのなっこのレビュー・感想・評価

ノーサイド・ゲーム(2019年製作のドラマ)
3.0
ネットニュースで主題歌が流れる1話目のラストシーンを見て視聴を決めた。池井戸さんの原作は未読、でも、主演の大泉さんもラグビーというスポーツも好き、もちろん、この主題歌も好き。

そして、1話目を見て号泣した。あの雨が降りしきる中でタックルを繰り返すシーンで。左遷ではないけれど私も不本意な異動を経験したことがある。だからか、自分の居場所を追われて何処にいれば良いのか途方に暮れる気持ちは本当に痛いほど理解できた。このどん底から始まる物語の作り方が好き。もう後は上を目指すだけってとこ。ただ、「陸王」も好きで見てたのに終わったあと心が空っぽになって後に何にも残らなかったっていう印象が強くて、これもそうかなって妙に心配になった、でもそれは杞憂だった。

気がついたら私も君嶋さんと一緒になってラグビーの未来について真剣に考えていた。彼の仕事に対する姿勢はとても素敵。どんな困難に直面しても良い案を絞り出してなんとかしてくれるんじゃないかって思える、信頼できる主人公だった。それが家に帰ると妻には頭が上がらない、そこも良かった。彼女は、彼の心の声をすくい上げて議論の相手となって思考を明確にさせる役割なのだと思う。小説では主人公の内面を事細かに言葉で描けるけれど、画面で伝えるのは難しい。ずっとモノローグってわけにもいかないだろうし。彼女が良いガイドとなって一緒に主人公を鼓舞したり見守ったり出来て楽しかった。

ラグビーというスポーツの持つノーサイドの精神。フェアプレイの精神。それは、学校にいる間だけでなくて、社会人として組織に属する間でも、人に必要な精神なのだと思った。本当の敵と対峙したときに、君嶋が語ったことは、ラグビーに出会う前なら言えなかったことなんじゃないかな。
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