チリコン豚入り

After Life/アフター・ライフのチリコン豚入りのレビュー・感想・評価

After Life/アフター・ライフ(2019年製作のドラマ)
3.7
「やさしさ」にあふれた作品。

主人公は奥さんを亡くしたために自暴自棄となってしまった中年男性。
悲しみを振り払うために自身にも周囲の人間に対しても、まったく気を使わない振る舞いを主人公は続ける。そのせいもあってか、主人公をやたらと気遣う人間が多いやさしさあふれる状況でも妙な緊張感が漂っている。おかげで退屈しないで最後まで見ることができた。

本作では登場人物の多くが主人公に対して優しく振舞う姿を見ることができる。そして多くの場合、多少苦労を伴ったとしても主人公とは対照的に、最後には充足した表情を浮かべている。こうした状況の中で主人公が立ち直っていくために、すべきことを受け入れていく(葛藤しながら)過程は、客観的にはどうしようもない中年おっさんをつい応援したくなるような存在にしてくれていたと思う。最終話の主人公の姿には何となくガッツポーズをとりたくなるようなカタルシスを感じた。

少し気がかりな点は、主人公がやらかしてしまったこと(ホームレスの件等々)に対しては思った以上に追及されなかったことだ。やってしまったことに対する責任の取り方や、周囲がどのようにふるまうべきかは、あまり触れられていなかったように思う。本シーズンではあえて解決しようとしなかったのかもしれない。第2シーズンが決まっているようなので、そこで解決されることを期待したい。