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アガサ・クリスティー ABC殺人事件のmendeのレビュー・感想・評価

3.5
サラ・フェルプスならではのクリティカルなクリスティもの。
老いて落ちぶれて侮られているポワロを見るのが辛い。ポワロの口ぐせ「Mes enfants(子どもたち)」という呼びかけが、彼の前職のヒントになっている(でもフランス人だと割と誰でも使う言葉なような気がするけど、ベルギーは違うのかな)。
クリスティ作品はほとんど上流階級のお金持ちしか出てこないけど、ここでは貧困層や移民にも焦点が当てられている。毒親に売春させられている娘、貧困から抜け出すべく金持ちの男をひっかける女、親から容姿で差別される娘、真犯人から利用される障害のある男、そしてポワロ自身も移民。
かつて、お金持ち(被害者の1人)のパーティーに呼ばれたポワロは余興で「殺人を起こしましょう」なんて言っていて、真犯人はそれを聞いていた。
アルファベット順に殺人が起こる奇抜さが原作の面白さだが、殺人を余興にしていいのか、楽しんでいいのかということ自体が視聴者にも問われているようだった。
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