リコ

たどりつけばアラスカ シーズン3のリコのレビュー・感想・評価

-
登場人物がくまなく全て好きになってしまう現象が、海外ドラマを見ているとよく起こる。
私の場合、それは「フルハウス」に始まり、「名探偵モンク」、「ブルックリン99」・・・
そしてこの「たどりつけばアラスカ/Northen Exposure」も然り。
本気でこのシシリーの町の住民になって、ルース・アンの雑貨屋で働き、毎日「クリス・イン・ザ・モーニング」を聴いて過ごしたいと思った時期があった。

そもそも私はリアルタイムで見たことはなく、WOWOWや民放の深夜放送でもなく、ニ●二●動画でアップされているシーズン3と4の断片を見ただけなのだが、じわじわと夢中になり、ついにはシーズン1・2の海外版DVDを取り寄せてしまった。したがって全シリーズを見ておらず、最終回もどうなってるのかいまだに知らない。

それはさておき、なんとも不思議で変なドラマだ。
登場人物は主人公も含めて何だかちょっとずれてる人々ばかり、雄大で厳しいアラスカの自然のなかではごく普通に超常現象がおき、やりとりは終始ユーモラスで喜劇調なのにエミー賞の「ドラマ部門」作品賞を受賞している。
哲学的で詩的、ナンセンスでシュールで、ヒューマニスティック。
一度その魅力に参ってしまうと、もう心はアラスカのシシリーに飛んでいる。(このドラマがなければ、たぶん「グッド・プレイス」みたいなドラマは作られなかったんじゃないだろうか。)

シーズン3は全話神回か?と思えるほど、すばらしいエピソードが連なっており、「それぞれのクリスマス」「マギーの天中殺」「シシリー初の選挙戦」はその年のエミー賞脚本賞にトリプルノミネートされた。
そしてシーズン最終回の「風と共にシシリー」はまさかの歴史劇となっており、シシリーの町の始まりを描くエピソード。何故この町が変わり者たちのユートピアなのか、町名の由来となった女性の物語と共に解き明かすストーリーで、私は最高に好きな回、TV史に残る神回だと本気で信じている。

日本では今までVHSもDVDも販売されておらず、再放送も長らくしていないので、幻の番組として忘却されていくのかと思いきや・・・何と20年以上の時を経て、続編が製作されるんだとか!!!
ルース・アン役の女優さんは既に故人であり、ホリングやモーリス役の人もかなり高齢になっていると思うが、どうにかキャストがリユニオンしてほしい。そして開巻一番、クリスの「おはようシシリー!!」の台詞で始まったなら号泣するわ。
リコ

リコ