タケオ

TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブのタケオのレビュー・感想・評価

4.7
 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1(14年)の脚本は、小説家のニック・ピゾラットがたった1人で書き下ろした。これはアメリカの「TVドラマシリーズ」としては極めて異例な手法であり、スケール感や画面の密度のクオリティとも相まって、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』は「TVドラマシリーズ」というよりかは「映画」を鑑賞しているかのような感覚をもたらしてくれる。ウディ・ハレルソンとマシュー・マコノヒーという主に「映画」の世界で活躍している豪華キャストの共演も、そんな「映画」的な感覚をより補強するものだ。だが、じっくりと時間をかけて事件の顛末やキャラクターたちの日常を描き出していく腰の座ったタッチは、正に「TVドラマシリーズ」ならではのものである。『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』には「映画」と「TVドラマシリーズ」の魅力が見事に同居している。地道に「TVドラマシリーズ」的な物語をコツコツと積み重ねていきながらも、ここぞという場面では迫力あるアクションを炸裂させるメリハリのつけ方も実に見事。第4話クライマックスでの手持ちカメラを利用した驚異的な長回し場面は、それこそ正に「映画的」なスリルと興奮を鑑賞者にもたらすものである。そして約8時間に及ぶ捜査の果てに鑑賞者は、「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ(真の捜査官)」というタイトルの真の意味を理解することになる。とても「善人」とは呼ぶことのできない薄汚れたものたちの「正義」と「誇り」。ジェームズ・エルロイの『L.A.四部作』(90年)とも通底する男たちの「矜持」と「美学」が、「映画」と「TVドラマシリーズ」の交差する地平で煌々たる輝きを放ち出すのだ。
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