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ロマンスは別冊付録のCisaraghiのレビュー・感想・評価

ロマンスは別冊付録(2019年製作のドラマ)
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最初は社会復帰するお母さんにエールを送る話かと思って見ていたら、少女マンガのようにファンタジィな、つまり現実には考えにくいご都合主義的な恋愛ドラマの展開に。しかし、齢40にして少女マンガの主人公を張れるイナヨン氏すごい。対するイジョンソク君もスマートなスタイルと清潔感が年下の王子様役にピッタリ。実際イナヨン氏が実年齢の一回り下くらいにしか見えないので、お似合いのカップル。カジュアルなミニスカートスタイルでも、前髪垂らしてほっぺをプッとふくらませてもイタタタ…とならないイナヨン氏、さすがはウォンビン氏の妻だ。
 
恋愛部分は、ぶっちゃけ"セレブ美人はいつまでも若く可愛く美しく、当然モテる"という話に見えて、いささか鼻白む。イナヨン氏のブランク(6年ばかし女優業を休んでいたらしい)とカンダニのブランクが重なり、つまり、若い俳優相手に40目前にしてラブコメで復帰出来るセレブな女優イナヨン氏と、離婚はしたものの能力にも容姿にも男性にも子供にも恵まれ、結局は仕事でも私生活でもシンデレラになりましたー!というカンダニが重なって見えしまう。それを"よかったねー!素晴らしいね!"と楽しく見られるほど私の心は広くなかったということか。さすがに少女マンガはキツいし。しかし、カンダニに感情移入できる人いるのかな、これ?憧れの存在には感情移入する必要ないのかな?

最大のツッコミどころは、子供がいる設定にする必要あったのか?という点。12歳の娘が留学中という設定とはいえ、子供に言及するところはほとんどなく、ここまで子供のことを無視して描くなら子供いない設定にした方が自然だったと思うのだが。あえての設定だとしたら、どういう意味があったのだろう?マイノリティではなくマジョリティに属しているという、それだけのための設定?

出版社を描くお仕事物ドラマとしてはとても面白く見た。かねてから韓国映画やドラマに比較的詩人がよく登場し、韓国では日本より詩に人気があって詩人にも市民権があるらしいと興味深く見ていたが、やはりここでも詩の存在感は大きかった。日本より詩がリスペクトされている点は、日本人にはない韓民族の大きな美質、あるいは美質の表れではないかと思える。ちなみに、夏目漱石は韓国でもよく読まれているのだろうか?
 カンダニが仕事上で自分の希望や言い分を遠慮せず簡単に諦めずしっかり主張するところなども韓国らしいのではないかと思った。

話が進むにつれて脇役の皆さんのキャラが立ってきて、むしろ主役よりもそちらのドラマが楽しみになってきた。ソン代理とチソジュン、マーケチーム長と元夫、同期のパクフンとジユナ、コ理事と代表。最後の方はもはや誰が主役でもない群像劇の趣きを呈してきてかえってよかったと思う。そういえば、『ラブアクチュアリー』をパクった場面もありました。"韓国のマーティン・フリーマン"と呼びたいパクフン役のカンギドン君が実に上手い!彼とコンビのパクギョユンさんもコメディエンヌの才能ある!この二人は特にお気に入り。これからもっと活躍して欲しいなぁ!ずっとクールな表情だったイジョンソク君も、最後になるにつれ笑顔が増えて可愛かった。

残念ながら主役二人のラブストーリーにはあまり心を動かされなかったけれど、サイドストーリーはどれも結構グッときた。カンダニと同い年設定ながらリアルな生活感溢れるマーケチーム長、中高年オバサンの共感を一手に引き受けていたと思う…。ミステリーの伏線で話を引っ張っていくところもさすが韓国。全体的にセリフにはわざとらしさがなくてよかったのでは。エピローグに毎回登場する詩も楽しみだった。さすが詩の国です。