Inagaquilala

潤一のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

潤一(2019年製作のドラマ)
3.7
テレビ放送のためにつくられた全6話の作品を、それぞれ3編ずつ「前編」と「後編」に分けて、劇場公開された作品。通しで観ると3時間以上になるため、とりあえず前編を観賞。1話と2話を北原栄治監督が、3話を広瀬奈々子監督が担当、両人とも是枝裕和監督や西川美和監督の作品の現場で関わってきた「是枝組」の人物だけに、それぞれの作品は30分くらいだが、なかなか完成度は高い。とくに3話、夫が遺した蔵書を古書店にまとめて売る女性と、全6話の主人公である潤一の関係をスリリングに描いた作品は、さすがに素晴らしい作品であった「夜明け」でデビューした期待の女性監督だけに、なかなかの観応えがあった。

原作は直木賞作家の井上荒野さん。主人公の潤一が関わる女性たちとの特異な「交渉」を描いた連作小説だが、この潤一を志尊淳が、まさに原作小説の主人公が、そのまま抜け出してきたかの如くに演じている。それぞれ、さまざまなシチュエーションにある女性との関わりを、1つ1つ印象的な演技で公演している。1話の妊娠中に潤一と深い仲になってしまう女性を演じた藤井美菜、3話の亡くなった夫の不倫を疑う未亡人役の原田美枝子は印象に強く残った。公開期間が短かったために後編を観る機会を失ってしまったが、これも追い追い是非とも観たい。