せぶみ

そして、生きるのせぶみのネタバレレビュー・内容・結末

そして、生きる(2019年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2話
清隆の母は養子だからこそ余計に清隆の幸せを願っている
母と清隆の間には幸せの定義に少し差があっただけ

清隆も彼女の愛情を理解していたからこそ、彼女が望む通りに生きてきた
「デビューが遅かっただけ」
まさにその通りだ
上手く言葉にできなかった私の考えをとても端的に表現していて脱帽した

瞳子は賛成
母は反対
しかし二人が逆の立場だったら…
二人とも清隆を愛しているのは同じで、その間には立場の違いしかないのかもしれない

「感謝なんかしなくていい。親が子どものことを考えるのは当たり前だ。」
この台詞が一番刺さった

病院で目を覚まして妊娠を告げられた瞳子
ホテルに帰ってからの無言の演技
これぞ女優という複雑ないくつもの感情を表情で表現した数十秒
有村架純の大ファンであることを差し置いても拍手を送りたい

5話
清隆が海外での仕事を選んだのは、「誰かに感謝されたかったから」なのかもしれない
気仙沼のボランティアで人から必要とされ、感謝され、「生きてることの意味」を感じられた
だからそれを仕事にしたいと思った
でもそれはエゴであって、ジャスティンの「僕たちは可哀想なの?」という問に、清隆はお茶を濁した
結局、清隆もジャスティンの言う通りの「偽善者」に過ぎなかったのかもしれない

「ここを、俺たちを美化するな。」
坂本さんの言葉がとても印象的だった
やることは山積みで、人手が足りないのは確か
それならいつでも助けを欲している
短絡的にそう思ってしまっていた
だが、
「僕たちは可哀想なの?」
被災地の子どもにそう訊かれたら、私もまたお茶を濁すことしかできないのだろう

6話
特に最終話では、ハンちゃんの芯の強さが際立っていた
感情を素直にぶつけて怒る
「思いを飲み込む美学と自分を言いくるめ」ずにはっきり伝える
その姿がとても魅力的だった
「私に失礼」という言い回しは、上手く言葉にできないが、とても好きだ
日本人はそのようにストレートには伝えない傾向にある
でも思ったことは素直に伝えていい
それは間違ったことじゃない
そう言われた気がした

もし清隆との子どもが無事産まれていたとしたら、瞳子は一人でその子を育てているだろう
父親はいなくても幸せを感じ、微笑みながらその子を抱いている瞳子が目に浮かぶ
慎二と離婚したとしても、瞳子と子どもの2人
同じ状況に思えるが、その先には正反対の瞳子の姿がよぎる
離婚を切り出されて断固拒否した瞳子にもまた、芯の強さを感じた

想像が掻き立てられる素晴らしいラスト
せぶみ

せぶみ