玉造

そして、生きるの玉造のレビュー・感想・評価

そして、生きる(2019年製作のドラマ)
4.0
東日本大震災後、ボランティアで出会う瞳子(有村架純)と清隆(坂口健太郎)。お互いに惹かれ合うが、瞳子は女優の夢があり、清隆は大企業を辞め、国際ボランティアへ。そこから二人の運命は離れていく…。

有村架純と坂口健太郎なら、ハッピーエンドでしょ~なんて決め付けて観ていたが、素晴らしいドラマだった。
離ればなれになってしまった瞳子や清隆にも様々な試練が立ちはだかる。挫折、苦悩、悲しみ、苦しみ。お互いに心の中にはまだ想い合っているのに、その気持ちさえも遮る「生きていく」という辛さ。

東北の美しい景色を背景に時は過ぎていく。二人の演技も良いが周りのキャストも素晴らしい。
瞳子を包み込むような愛情を注ぐ伯父(光石研)。愛情が有り過ぎて過剰になる義理母(南果歩)の心痛む演技。

そして何より考えさせらたのが、
清隆が赴任したフィリピンに両親を亡くした孤独な少年が言った言葉。
「なぜ日本は豊かでこの村は貧しいの?助けにきたのは僕達が可哀想だから?僕達は可哀想なの?」
その問いに清隆も、そして誰も答えられないのでは。
正義感を持って助けようとしても、相手はそれをどう思っているのか?当たり前の様に「ありがとう」と言われるとでも?
とても胸が痛んだ。
ボランティアの難しさを考えさせられる。

最後に瞳子と清隆がお互いに伝え合う「大好きだよ」の言葉。
それは付き合いたての恋人同士が言い合う言葉とは全然違う。
お互いに違う道を生き抜いてきてなお相手を想っての「大好きだよ」なのだ。

タイトル通り、何があっても「生きる」それしかない。
その心臓が止まる日まで。
玉造

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