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マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~のTAMUのレビュー・感想・評価

4.4
『梨泰院クラス』は様々な世代が見ても楽しめるドラマで万人にオススメできる。
一方で本作『私のおじさん』は、おじさん、おばさんでこそ楽しめる、酢いも甘いも分かってから見るドラマ。
万人受けはしないかもしれないが、刺さる人にはブッ刺さり、後遺症が心配なほどw

で、ただ今、後遺症。いわゆる”おじさんロス”

見る前はおじさん達と若い女性のすれ違い型コメディと思ったが、ド暗く、見終わってため息つく型のおじさん苦汁を味わう型コメディ💦

演出は『未生』を手掛けたキム・ウォンソク先輩。お見事。社内の権力闘争を一つの軸にする辺りは、他のドラマに見ない斬新さ。
そして主人公の二人が揃って無口で多くを語らない。心に染みる渋い音楽と、目線、仕草、小物で語る演出にシビれる。付いてくわw

さらに、好きになったドラマのキャストは全員好きになる性分ながら最高のキャスト。

特に主演ジアンを演じたアイユ。こぼれる笑顔がトレードマークなのに、本作では途中まで一切笑顔を見せず。しかし、陰りのある表情や強い眼差しに引き込まれることに。
後半はアイユが泣くなら、俺も泣く展開にw

そして同じく主演のドンフンを演じたイ・ソンギュン先輩。『パラサイト 』で言うところの社長、『最後まで行く』のダメ刑事。
本作では人生に失敗した哀愁漂うエリート。世界の不幸を一手に引き受けた切ない表情に胸熱。キタコレ。まさに俺!(細かいこと言うとエリートではなく、部長にもなれてないがw)

これがな、小さな世界で正義を押し通す姿に、やはりシビれる。自分も女子にはいつでも食事をおごる覚悟はできておりますw

でね、個人的に圧巻の演技を見せたのはクズ社長ト・ジュニョン演じたキム・ヨンミン。近作では『愛の不時着』の耳野郎が有名だが、あの役を射止めたのも納得の表現力。
なんて言うか、社長でありながらクズであり、小物感を漂わせる2枚目枠では唯一無二の役者では無いかw

更に終始、儚い憂いの表情を見せ続けるドンフンの嫁ユニことイ・ジアン。ある意味、被害者。
この、いつ首つっても不思議では無い状況を演じるって大変と思うよー。私生活にも響きそうだし、撮影が終わって、すぐ普通の表情に戻れるのか心配になる程。素晴らしいね。

他にも長男パク・ホソン、三男ソン・セビョク、坊主パク・ヘジュン、女優クォン・ナラとか推したい方は多々いるが、本作で推したいのは、声のでかいクソ常務ことチョン・ジェソン先輩。
こんな憎たらしい顔があるものかと惚れ惚れする。自分はこれまでノーマークの役者さんだっただけに、層の厚さに鳥肌が立つ。

あー、いつかジョンヒのお店でうなだれたいw
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