建設会社の万年部長（実は仕事はできる人でそれが権力者に疎まれ実質左遷状態）で妻には浮気されているおじさんと、若いのに借金と暗い過去を抱え目の見えないお祖母さんの世話をしながら働き詰めの女の子。孤独な2つの魂がお互いを哀れみ癒やし慰め合いながら幸せになろうとする話。
最初は暗いなあって思ったけど単純にジャンル分けできるストーリーではないからどうなっていくのか読めなくて興味が持続した。私は終盤でボロボロっと泣かされてしまった。女の子が借金取りに殴られるシーンとかがあるので、そういうの観たくない人には中盤くらいまできついかな。
わかりやすい恋愛ドラマとは全然違うテイストで、愛は愛でも兄弟愛とか親子愛とか地元愛の描写が多い。中卒で人に言いづらい過去があって仲間というものに触れたことがない女の子がその温かみに触れて初めて生きた心地がするという。女の子の方はずっと無表情で死んだような顔してるんだけど、おじさんと何度か食事して初めて最初に笑ったときに、あー幸せになってほしいなと思った。この二人の関係とか感情を言葉で表現するなら慈愛が近いかなあ。安っぽい愛ではない。おじさんの「君が気にしなければみんなも気にしない。君が深刻だと思えば他人もそう思う。何事も本人次第。君がそう思ってればそうなる。名前（至安）のとおりに生きろ」というアドバイスも素晴らしかったなあ。
訳あって女の子はおじさんの電話をずっと盗聴しているという設定で、だからおじさんの声が良いことがキャスティングにおいてとても重要だったと思う。おじさん役は「パラサイト」の社長であの良い声！！あっちでは無敵の富裕おじさんだったけど、こっちでは出世欲なしで見返りを求めないひたすら優しいおじさん。
ザ・苦労人であんまり寝てなさそうで栄養行き渡ってなさそうな小さくてか細い女の子をIUが好演。
ここぞというところでかかる音楽も良かったなあ。
梨泰院クラスのスアも出てるよ。
