とうとう終わった! おそらく終わったのだろう!(ひょっとして続編があったりして)
何年前から、このドラマを見だしたのかは忘れたが、私の知る限り最高のドラマのひとつであることは間違いない。
大戦前夜の暗雲立ち込める時代から始まり、東西冷戦にわたる約10年余りの英国現代史をトレースしてきた叙事詩も終わりを告げた。
始まりから、終わりに至るまで少しも品質を落とすことなく続いたのは、ホロヴィッツの力量によるものだろう。
特に、最終章は秀逸であった。地方の高級警察官であったフォイルが情報部にスカウトされ、始めは違和感もあったが、それなりに情報部員として活躍するエピソードが多い本章は面白い。
バレンタインやピアースといった個性的なキャラを同僚に迎え、フォイルの活躍が目立つ。
なかでも、『エリーズのために』は泣かされる。
それぞれが自分なりの正義を持っていることから生じたやるせない悲劇。しかし、どんな状況下でも人間性を捨てることは許されない。
フォイルの揺るぎない信念をピアースが実践するラストは見終わった後、虚脱感に襲われた。