オリオンの息子

刑事フォイル シーズン1のオリオンの息子のレビュー・感想・評価

刑事フォイル シーズン1(2006年製作のドラマ)
4.8
AXNミステリーではまり、NHKBS、再放送再々放送と数え切れなく見ているが、何度見ても新しい発見のあるドラマだ。
こんな手の込んだ脚本を練り上げ、最高の役者をあてがう、実に素晴らしい仕事をするBBCには賛辞を送りたい。

『刑事フォイル』という邦題には、若干の抵抗がある。
これは1940年から50年代にわたる英国現代史ではないだろうか、しかも立ち位置がしっかりとしているから、共感を呼ぶドラマに仕上げられている。
ヨーロッパの戦争に徐々に巻き込まれていく初期から、後期には東西冷戦に入るが、フォイルは情報部にスカウトされるも、全く信念はぶれない。
ダンケルク、バトルオブブリテンといった戦史も巧みにエピソードに織り込み、後期には原爆開発といった思いテーマも取り込む。

ホロビッツの脚本が素晴らしいのは当然だが、主演のマイケル・キッチンの飄々たるなかにも、自分の正義を貫き通すという演技にはほれぼれする。

おかげで、似合いもしないハットを何個か買ってしまった。