ブタブタ

新!少年探偵団のブタブタのレビュー・感想・評価

新!少年探偵団(2021年製作のドラマ)
3.5
昔から思ってるのが江戸川乱歩は横溝正史と違って映像化に向いてない。
横溝正史はスティーヴン・キング(その他多数)と同じく始めから文章が完全に映像として書かれてるのに対して乱歩の小説は、小説の中でしか存在不可能な物体や出来事が展開されてる事が多いし其れが最大の魅力。
これは京極夏彦もそうだし、実は人間の脳内で展開されてる出来事があたかも目の前で起きてる様なとんでもない世界を小説という形で描き出してるので必然的にトンデモ世界になる。
なので其れを映像で再現となるとこれまた必然的に実験的映像作品になる。
本シリーズは乱歩原作を「ほぼ忠実に映像化」のコンセプト通りナレーションと台詞の比重が多いながら其れを縫う様な形で実験的演出や愉快なキャラクター達によって話しが展開される。
その最もたるものが満島ひかりの明智小五郎。
男でも女でもない「明智小五郎」という存在なのだと思う。
今回登場した明智の一番弟子である小林少年は余りに可愛いので女の子だと思ってたら男の子なので驚いた。
小林少年を演じられるリアル男の子が存在するとは。

第一話『怪人二十面相』
乱歩の怪人二十面相はアルセーヌ・ルパンをモデルとして和製「怪盗紳士」で、明智と頭脳戦を繰り広げる強敵として作られたキャラクターながら回を重ねる毎に乱歩のその変格探偵、エログロ、変態趣味は少年向け作品であってもその魔手から逃れられないというか、当初の怪盗紳士然としたキャラクターから『盲獣』『一寸法師』等の異常犯罪怪人達とあんまり区別がつかなくなっていく。
今回は最初の作品ながらアバンの明智と二十面相の邂逅で、二十面相が自分の顔をグチャグチャやって明智に化けるシーン。
二十面相は誰にでも化ける妖怪的、怪物的なキャラクターである不気味な存在の演出がきいててよかった。

第二話『少年探偵団』
クルマに乗ったら運転手が確かに日本人だった筈なのにいつの間にか、振り向くとインド人に変わってる。
タネは顔を黒く塗っただけって、現在では倫理的にもまずいし常識的にもバカバカしいこのトリックを何のアレンジもなくそのままやったのはハッキリ言ってすごい。
これは少年探偵団が何故か全員おじさん(少女もおばさん(失礼))て言う一種異様な世界だから出来た事だと思う。
それから怪人二十面相は長身のハンサムな男ではなくチビのブ男説。
これは子供にも化けられるし、ハンサムな明智に対して異常な敵愾心を持ってる事かららしい。
でも森山未來のカッコイイ二十面相基本体(?)は三話通して登場して欲しかった。

第三話『妖怪博士』
廃墟を使ったロケーションが素晴らしかった。
時間が足りなかったのか処々アニメーションで済ましてしまったのが残念。
斉木しげるの警部がずっとフルフェイスヘルメット被ってるのはスケジュールが合わなかったのか?
他の回と比べて少し実験的演出が少なかった感じ。
明智のライバルとなる探偵・殿村弘三が普通の男ではなく明智と同じく女性が演じるとか、それと何故か一瞬登場した『ねほりんぱほりん』のブタ人形みたいにいっそ人形に演じさせるとかその位の例に実験的演出をやって欲しかった。
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