Automne

傷だらけの天使のAutomneのレビュー・感想・評価

傷だらけの天使(1974年製作のドラマ)
5.0
萩原健一みたいな歳のとり方したいなって思って見始めたのがきっかけ。こんなに面白いドラマだと思わなかった。ドラマの域を超えてよもや映画ですね。
オープニングからして最高。ショーケン×水谷豊のコンビは言わずもがな伝説。
高度経済成長期の在りし日の東京、ネオン街や屋台おでん、バブル前の高揚感の浮ついた街の空気感がよく表れていて、それだけでも見る価値がある。
オサムもアキラも怪しい仕事で日銭を稼いでいるけれど、完全な悪には染まりきれずいつも仕事でしてはならないムーブをしてしまう。それも人情ゆえのことであって、豊かになって利を貪る人々や資本主義に対してのアンチテーゼ。最終話で学生運動のシーン出してきたのも意味ありげ。
決して人間としてできているわけではないのに、なぜかみんな魅力的で愛らしい。人物を愛せるかってシリーズドラマでかなり重要な要素だと思うのだけど、一回きりの登場でも印象の強いキャラがたくさんいたりして良かった。
神回はたくさんあって語り尽くせない。
深作監督や辰巳演出、市川脚本の回はやっぱり冴える。
“ばっきゃろー、こんにゃろー!”ってよく出てくるのだけど、この前歳上の友人にきいたら、ビートたけし以前、昭和では“おーい”くらいの意味でよく使われていた言葉らしい。
義理、人情、ドラマ性、時代背景、舞台美術、画面の空気感、どれをとっても間違いなく日本ドラマ史にのこる傑作です🫰
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