このレビューはネタバレを含みます
非常に丁寧に制作されている作品だと思います。
災害や事故や事件に遭われた方々や
監察医の方々への敬意が深く感じられます。
相当なリサーチを行なっていると思います。
作中ではあまりでてこない
石田ひかりさん演じる里子さんは
柄本さん演じる老父には娘であり
時任さん演じる平さんには妻であり
上野さん演じる朝顔さんには母親であり
事故や災害などで突然不幸にも
身内を亡くされた方はそれぞれに
自身を重ねてみえるのではないでしょうか。
大切な人や身近な人を失う悲しみや
痛みの経験はありますが
彼らのような壮絶な経験をすることは
自分自身はこれまでたまたまなく
彼らの気持ちを完全に理解することは
難しいと思っています。
でもそこで終わりにはしたくはなく、
彼らは自分だったかもしれないし
明日の、未来の自分かもしれないし…
朝顔さんが解剖のたびに遺体に向かい
教えてくださいとお願いする姿は
ドラマをみている時の僕の気持ち
そのものという感じです。
先にあげた3人とはどうしても
一枚壁というか埋めきれない距離がある
とどうしても感じてしまいますが
それがない人物がいます。
朝顔さんの夫の桑原くんです。
だから一番近い人物が彼だと思い、
こんな時どんな言葉を選ぶ？
どんな行動をとる？と見ています。
平さんのアルツハイマー発症など
辛い展開が続きますが
それでも人と人のつながりや
思いの持つ強さなどを感じて
毎回あたたかな気持ちにさせてもらえます。
それはみんなでごはんを作ったり
食べたり、公園で遊んだり
そんな何気ない日常の風景さえ
丁寧に描いているからだと思います。
もうすぐシーズン2が終わりますが
続きもみたい気がします。
それにしても…
時任さん、風間くん、大竹しのぶさん、
ドラマ「それでも生きていく」の方々は
いつも演技が身に沁みます。
あと、歯を受けとられた青森の遺族を演じた
野間口さんは一話だけの出演ながら
しっかりとした役作りで素晴らしい演技でした。
