随分前に原作を読んで「映像化したら面白そうだな」と思っていた作品だったけれど、丁寧に作られたことがわかる、実に素敵なドラマに仕上がっていて嬉しかった。
主人公の菜々が十代の少女であることや波乱に満ちた展開は時代劇にあまり馴染みのない世代にも受け入れやすいと思う。
菜々が持つ大切なものを守りたいと思う強い意志やしたたかさにも似た賢さや逞しさ、手を貸したいと思わせる人間力はいつのまにか視聴者の心も掴んで離さない。
“だんご兵衛さん、お骨さん、死神先生、らくだの親分…” といった菜々を助ける仲間たちもあだ名の的確さも手伝って覚えやすいし、奥様や旦那様も素敵。
子どもたちも本当にいい子で可愛かった。
主人公の菜々を演じる清原伽耶ちゃんは若い女優さんの中では特に注目株！
一見ハーフにも見える美しい顔立ちをよそに、日本髪や着物がよく似合う。
凛とした佇まいも時代劇に向いているし、演技力も着実に上がってきていると思う。
最終回で彼女が流した一筋の涙がとても美しくて心が震えた。
最後はやや駆け足でもう少し余韻を残してほしかったけれど、それは欠点のうちには入らない。
ひとつだけ残念な点があるとすれば、こんなに素敵なドラマが原作者の生きているうちに叶わなかったこと。
代わりに、再放送や地上波放送でよりたくさんの人の目に触れることを願っている。
