ねまる

ボイスⅡ 110緊急指令室のねまるのレビュー・感想・評価

ボイスⅡ 110緊急指令室(2021年製作のドラマ)
3.5
安藤政信劇場でしたね。
色んな意味で、それが全てでした。
彼は本当に素晴らしかったし、安藤政信以外に良いところも無い。
彼にとってそれが演技力を見せつける機会になったのならいいし、ドラマ自体のクオリティを考えると勿体ないとも思う。

白塗り野郎は誰だ、企画から始まったこのドラマ。1を観ていなかったのに、観ようと思ったのは、私の中のセンサーが察したから。
1話すぐで確信してしまったのはあまりに早くて、確信したからこそ続けられたと言うのもある。

ドラマ自体はね、刺激的なことをやりたいのも分かるんだけど、あまりに唐突な展開と、展開のやりたさを優先した、人の死の連続に嫌気がさすし、映像が明る過ぎて、そのダークな展開と合わないし、主演やその他の役者陣の芝居がコメディ。なのに脚本がカッコつけ台詞で、猛烈なダサさ。
少なくとも真木よう子の無駄遣いではある。
まっすーは良かったけど、唐沢さんは格好悪く見えたなぁ。
「白塗り野郎」って呼ぶたびにくすって笑っちゃったもん、、、

こんなドラマなのに酷いのに、
よく白塗りで舞う、カッコつけ台詞の悪役を、サイコパスでクレイジーに、そのキャラクターとして演じたよ、安藤さんは。
気持ち悪くて、怖くて、狂っているだけでなく、その裏にある悲しさや淋しさを含めた表情をするからこの人は上手い。
特に最終回。
ここまで狂った殺人鬼として、主人公たちの前に立ちはだかったのに、
最後、大きな眼からボロボロと、ただ涙を流し続けるんだよ。泣くのか。泣くか。
やってることは、『ダークナイト』のJOKERや『se7en』のジョン・ドゥをモチーフにしていると思うんだけど、最後泣くんだぜ。
何故かその涙に吸引されて、直前まで恨んでさえいたはずのキャラに可哀想な子どもという印象すら感じさせ、涙を誘う。
そんなの安藤政信にしか出来ないよ。

こんな芝居を観れたことが本当に幸せだと思ったし、ネットでも彼の芝居(と顔の良さ)を評価する声がちゃんと聞こえたのが嬉しかった。どこでも輝ける人だよね。
輝きをまた魅せてくれてありがとう。
ねまる

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