るる

ハンドメイズ・テイル/侍女の物語 シーズン1のるるのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

しんどくて一度断念したけど再挑戦。シーズン2まで。

吹替版で。リディアおば、くじらさんかと思ったら片岡富枝さんだった、なんにせよ、不穏さ倍増。司令官、最初、ハンニバル、井上和彦さんか?と思ったら違った、これ、いわゆる"萌え"に繋がるような配役をしてはならない題材だと思うので、そうだよな、って感じ。でもこれそういう需要もある気がする…こういう設定が好きで、こういう世界観に浸って安心感を得る夢女子腐女子を知っている…現実がいかにディストピアかを思って、しんどい

この世界で権力を握る男たちはどうしてこんな自分たちの首を絞めるような世界を作ったのか、男性の感想を聞きたい、と思ったりしたけど、娼館が出てきた時点で、ああなるほど、とことん搾取の世界、クソですね、と。

日本語訳、ルークを表すyour husband が「御主人」になってしまうあたり、皮肉、というか、世界観が破綻してるというか、現実終わってんな、って思っちゃった。どうにかならんのかな。

演者は妙齢の女性たちだけど、妊娠機能のある女、ってことは、実際、侍女になるのは十代の少女たちなのでは? と気付いて、児童婚だとかノーベル平和賞を受けたナディアさんだとか、もろもろ連想して、吐きそうになったし、このドラマは現実の悲惨さを超えない、現実のほうがよっぽど酷い、と思って、またちょっと冷めた目で見るようになった。
シーズン2でイーデンが登場したけど…
侍女から生まれた子供たち、少女の場合はどうなるんだろうな、妊娠可能な妻として育てられるんだろうか、それとも侍女になるように育てられるんだろうか。

家畜扱い、「奴らは私たちを歩く子宮としか思ってない」とかパワーワードもしんどいんだけど、設定のキツさが主で、描写自体はそこまで。告発という意味では物足りない気もした。でも、しんどすぎないのがいいのかなとか。

私たぶん、一番きついのは無理解の描写なんだと思う。侍女はいいよな、セックスするだけだろ、とか言う男が出てきたら辛すぎて吐いたと思うんだけど、あの世界で男たちがなにを考えて生きているか、もっともっと見たい気もする。

妊娠を手伝ってやろうかと足を撫でる医者、ものすごく醜悪で、侮辱と感じる描写で凄かった。憐れみに見せかけた搾取、医者にすればwin-winと言いたいのか、本当に最悪だなと。

心を通わせないと子作りできないフレッド、男たちに功績を奪われ不妊に悩むセリーナ。こいつも人間なんだ、という描写。
私もこいつと同じ人間なんだ、と思い知ることで絶望が深くなったりすることってあるよな、とか。こいつは許せない、悪魔だ、と敵認定できれば、憎悪を糧にできるけれども、好ましい部分もあると知ってしまうと相互理解の道を考えたり…でもできないと思い知ったとき、どうするか、という話かもな。距離を置いて棲み分けするしかないわけで、逃げるしかないよな。

改めて見ると、私だったら早々に死ぬな、いまの私そこまで生に執着がない、自決できなくても狂うか殺されるな、と思った時点から、ちょっと距離を置いて見られるようになった。こんな人類は滅べばいい…こうまでして存続したいさせたいとは思わない思えない…どうだろう

自分に近いキャラクター、感情移入先がないのは良かったかも。不妊に悩む女性が見たらキツそうだなって思っちゃった。妊婦や経産婦に嫉妬する描写も、妊娠について無知を晒してしまう構図も、シーズン2、侍女をよそに母親になる夢を語り合う人形遊びをするような描写もきつかった。

きついといえば、ジューンとルーク、不倫の末の結婚、出産なのかと。フレッドとの関係といいニックとの関係といい、とことん姦淫の罪と罰の話なのか、と思っていたら、シーズン2でジューンが罪の意識を持っていることが明言されて、うーん、と。だからこんな目にあうのは仕方ない、という方向には持っていかないだろうが、どうすんだろうな、とか。

そうそう、これいわゆる代理母の是非や代理母ビジネスについての問題提起の側面もあるのかなと思ったりして。しかし双方納得ずくの契約の上で実際に子供が生まれている現実がある、幸せに暮らしてる家族もいるわけで、そのへんへのフォローあるかな。と思ってたらシーズン2で少し言及された。

しかしこれ、侍女から生まれた子供が育ての親である妻を母親と認めて幸せに暮らし始めてる世界なわけよな、自分は強姦によって生まれたのだと知った子供のケアまで描くなら凄いと思うんだけど、どこまで描くんだろう。

メキシコから視察にやってきた女性との会話、「私の国はもう滅んでる」重い。

5話、抵抗する女性たち、不屈の精神を讃える。歴史への敬意を感じる。

6話、聖書を諳んじながら興奮を高め合うフレッドと夫人、敬虔な信者すぎて苦笑してしまった。

やっぱり宗教を利用するのが手っ取り早いのかなあ、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、国家神道、某カルト、いろいろと連想してしまった。

トランプ政権に対するプロテストのほか、イスラム国や公民権運動やナチス収容所、人身売買など、もろもろ現実を連想させるつくりで凄まじい。シーズン3でまたどのように世界観が広がるのか興味深い。

ウィキペディア、「儀式的なレイプ」と記載されていて、そうだあれはレイプ、正しい…と思った。制度を作る男たちの描写、なんとも醜悪だった。すさまじい。
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