なるほどォォォーーー!!e4くらいまで、ダークファンタジーに移民問題を仮託したよくあるヤツか、と思ってた。実際そうといえばそうなんだけど、でも、予期したよりはるかに繊細で複雑な問題を描き出し、さらに後半、s1全体が前日譚かと思うほど、ダークな展開が待っていた。カオスへ…。
クリッチと蔑称で呼ばれる妖精たち、パックたちに加え、同性愛者、半妖精。さらにはある意味で、没落貴族であるイモジェンも含めて、ありのままの自分で生きられないものたちの姿を、多様に描き出す。
移民問題がこの手のメタファーに乗せられると、「移民かわいそう」という一面的な見方に支配されがちなのだが、アウグレウス卿のような、ユダヤ人富豪の先駆けを思わせるような複雑な哲学の持ち主が現れたりして、なかなか多面的だ。彼が、リベラルな顔つきで握手を求める若い貴族にバツの悪い思いをさせるシーンや、"inclusive society “とクオーテーションマーク付きで話すシーン、こりゃ西洋の人たちの歴史への罪悪感に右フックぶち込むだろうな。知性と野心に満ちた怜悧な被差別者、この人がこのドラマを面白くしてるとさえ思うわ。
一方で、迫害されたものたちの過激化は、少しステレオタイプな描き方に見えたかな。まあ、首相の嫁をああいうことにしたから、平等を期するために…って配慮でもあるのだろうか。
とりあえずs1の見かけ上の黒幕は単なる操り人形で、さらにダークでマキャベリ主義な(まあマキャベリ的ともいえないか。政治的目的が皆無だからな、彼ら)黒幕が登場して、s2が楽しみである。途中まで虐げられたものとして描かれていた人物たちが、世界をカオスに引きずり込む様!ある程度共感してしまったあとに悪役化する展開、好きよ。引き裂かれる感じが!
個人的には、ヴィネットとファイロより、イモジェンとアウグレウス卿の恋に惹きつけられた。最初はイモジェンの浅はかさにイライラしてたけど、ここまで大胆だとは。なかなか、爽快だった。イモジェン兄は、いい人なのに知性がないボンボンの典型だよなー。ものの感じ方が浅すぎて、でも世の中の大半の人がこうだと思えば、軽く絶望するに足る人物だった。
イモジェンとファイロにも遠い繋がりがあるし、これはs2の伏線だろう。
ふむ。なかなか楽しみだ!