倉科博文

シャドウハンター: The Mortal Instruments シーズン1の倉科博文のレビュー・感想・評価

4.0
古き良きファンタジー世界観を背景に、スタイリッシュなデザインや映像と、現代的な価値観を織り込みつつ、異世界に迷い込んだ少女の葛藤と活躍を描くSF作品
作品のトーンは決して煌びやかなものではないものの、物語の核となる「信頼」「愛」「奉仕」「希望」などのメッセージを、シックかつダークだが鮮やかに飾り立てている
緻密な設定や伏線も破綻することなく、season1からseason3までは、名作だと思う

しかし、season4になって、急激にクオリティが下がった気がする
作品に込める熱量も、それまで貫かれていた精神性も無くしてしまった感じ
プロットも粗雑になって、これまで築いてきた複雑な人間関係やストーリーを性急に手仕舞いにしようとしているのが目に見える
また、これまで散々見せてきたストーリー展開を、またキャラクターを変えて擦り直している感じが手抜き以外に思えず興醒め

また、キャラクター同士の入れ替わり立ち替わりの恋愛模様が、大学のサークル内恋愛にも似て見えて共感性羞恥を感じてしまった
しかし、作品の設定を考えるに、生真面目な性格で、しかも多忙な仕事を抱えている主人公たちにとってみれば、身近にいる頼りになる優秀な友人が信頼に足るのであれば、そこで恋愛を賄うのも自然な流れだと思う
ここにむしろとてもリアリティを感じてしまった

それ以外にも、キャラクターの語る信念が、少なくともseason3までは、僕の心に深く刺さり共感する内容が多く、思想的にも懐の深い作品だと感じた

あとは、『パラバタイ』『シャドウワールド』『ダウンワールド』『イモージェン』『マンデイン』などの独特の用語や、家柄などの固有名詞が多く登場し、緻密に描かれた世界観もマニア心をくすぐる