りっく

北の国から '92巣立ちのりっくのレビュー・感想・評価

北の国から '92巣立ち(1992年製作のドラマ)
4.3
上京した純は子供を孕ませ、蛍は恋人を作り札幌の病院に就職しようとする。そこで邦衛は南瓜を持って頭を床に擦り付け、地元の病院に就かせようと先生に何度も挨拶に行く。だが、巣立った我が子たちは自らの人生に責任を持つことを望み、できすぎた真似をした父親は自責の念にかられる。

3人で足を伸ばして風呂に入る夢。その光景を実現させようと井戸を掘り、丸太の皮を剥き、石を積み重ねる。口数少なくみすぼらしい父親の、大地に根付いた生きざま、もがいて不器用に生きようとする証を、蛍と純とともに観客は丸ごと目撃し、改めて父親という存在を強烈に意識する。

純とトロ子のやり取りは映画好きにとってはとてもロマンチックで、深刻な本作の中で心踊る瞬間だ。恋人と同じ映画のビデオを借りて同時に再生し電話で感想を語り合う。特に「ライムライト」の名曲に乗せたシークエンスはその極みだ。
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