shun

北の国から 2002遺言のshunのレビュー・感想・評価

北の国から 2002遺言(2002年製作のドラマ)
5.0
北の国から'02遺言」を観終ったわけで

ついに終わってしまった
21年の歴史に幕が下ります

草太から受け継いだ牧場経営の破綻で富良野を離れた純、残された螢と息子の快、死を気にし始める五郎を中心に富良野と知床で生きる人々が描かれる

シュウの旅立ちほど辛いものは無いわけで。富良野を終われた純との関係は全く上手くいかず神戸へ行くことに
「ほんとは、ここに来たかったの。純くんと二人で、この麓郷で、お父さんにお風呂焚いて。あたしがいけないの、あたしが悪かったの。純くんがいちばん辛いときにあたしなんの役にも立たなかった、、」
五郎に会いに来たシュウ
精一杯最後まで明るくいようとして、冗談言って五郎の手を握る
最後までシュウにとって五郎は「おとうさん」だったわけで
顔にかかった水では隠れない涙、火にくべられた最後の手紙、夕日に向かって消える背中
「シュウのテーマ」の口笛が耳から離れない
切なすぎる最後。それでもシュウは最後の最後までシュウであり、たった5分ちょっとでも出てくれた宮沢りえに感謝しかないわけで

そんな中、純は知床で内田有紀演じる結に出会う。
歴代彼女の中ではシュウが一番だけど純に“合っている”のは結だったと思います。
そのきっかけが涼子先生というなんとも嬉しい驚きで
原田美枝子21年ぶりの登場。連ドラで一番好きな登場人物だったので最高に嬉しい
結局UFOの謎は解けなかったわけで
未だに先生は変わっておらず、結が人妻であることにこだわる五郎を諭すシーンも素晴らしく
「くだらないことにこだわるんだな。好き合ってるんだからそれでいいじゃない。それともバツイチじゃいけません?」

結の抱える過去が純を成長させ、純はやっと「逃げていても始まらない」と富良野へ帰る決断をする。
結の父親がまた個性が強くて、一人で素性を隠して富良野へ来た時やトド討ちからの生還など結構なキーパーソンで
ドヴォルザークの「家路」と共に生還したシーンは最高にかっこよくて痺れるわけで

一方富良野で息子と共に正吉の帰りを待つ螢はただただかわいそうで。連絡こそしなかったものの正吉は一度も愛を忘れたことはなく強く優しいままであったわけで
富良野を去り正吉の元へ向かう決意をする螢、見送る五郎、純、結、そして雪子
駅員に止められながらも列車を追いかける五郎、そして純は思う
「人の目もなにも一切気にせず、ただひたむきに家族を愛すること。思えば父さんのそういう生き方が僕や螢をここまで育ててくれたんだと思います。その事に僕らは今ごろようやく少しだけ気付き始めてるんです。父さん、あなたは素敵です」

富良野へ来て21年、黒板家の物語は五郎の遺言で締め括られるわけで
「遺言 純、螢、俺にはお前らに残してやるものがなんもない。でもお前らにはうまく言えんが遺すべきものはもう遺した気がする。金や品物はなんも残せんが遺すべきものは伝えた気がする。正吉や結ちゃんにはお前らから伝えてくれ。俺が死んだ後の麓郷はどんなか、きっとなんにも変わらんのだろうな、、、金なんか望むな。幸せだけを見ろ。ここにはなんもないが自然だけはある。自然はお前らを死なない程度には十分毎年食わしてくれる。自然から頂戴しろ。そして謙虚に慎ましく生きろ。それが父さんのお前らへの遺言だ」

携帯投げるシーンや最後の遺言など今だからこそ刺さるシーンばかり。
北海道の大自然と人間のあたたかさ。21年間涙と感動の連続でした。時代がドラマを作り、ドラマが時代を作った。いつまでもこの家族の物語を忘れないわけで、、、
shun

shun