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チェルノブイリのOKADAのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
唯一の戦争被爆国であると同時に3.11の福島第一原発事故の当事者である我々日本人にとって全く他人事ではないこのドラマは今最も観るべき作品であることは間違いないと思う。

このドラマを観るまでチェルノブイリ(現・ウクライナ:キエフ)原発事故の具体的な詳細について恥ずかしながら殆ど知らなかったのだが、事故の原因が原発技師の人的ミスであり、さらに根本的な問題であった原子炉の欠陥をソ連政府が隠ぺいしていたという事実は衝撃であった。
また、事故の犠牲者はおよそ数万人~数十万人とみなされているにも拘らず政府の公式記録では今もなお31人としか発表されていない偽りの事実に容赦なく切り込んでいく展開に終始目が離せなかった。

放射線の恐ろしさと事故の悲惨さがひしひしと伝わってくる本作は史実を忠実に描いていると思われるが、これをロシアやウクライナでなくアメリカが製作したというのが興味深い。
他国の非常にデリケートな歴史的大参事を真正面から取り上げるHBOの作り手たちの思いきりのよさは凄い。
米国製作のため多少推測や誇張している部分もあるかもしれないが、それを差し引いても非常にリアリティがあるドラマだった。
この作品を観た今のロシアの人々はどう思うのか少し気になるところ。

また、イギリス人俳優のジャレッド・ハリス、エミリー・ワトソンにスウェーデン俳優のステラン・スカルスガルドら実力派揃いの役者陣による緊迫感漂う重厚な演技により、この悲惨な事故の描写に説得力をもたらしていたのも良い。

全5話とドラマとしてはコンパクトな作品だが各1話がどれも非常に濃密な内容で見応えがあった。
ソ連での出来事を忠実に再現しているだけに全編英語での会話に若干違和感があったが、その意味でもロシア・ウクライナ側が作ったこの題材のドラマも観てみたいと思った。
内容が内容だけにここまでリアルに作るのは難しいと思うが...