じょせふ

チェルノブイリのじょせふのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
まずは映像作品としての質が高い。可視化出来ない放射線をキリキリと耳をつんざく嫌な音で登場させ鑑賞者は見えない恐怖を知る。

言葉を選び敢えて一言でまとめるとするのならば"ドラマ版シンドラーのリスト"。歴史からものを学べとは言うものの実際それは難しい、現在ローマのコロッセオで奴隷が戦っていることはなく、アウシュヴィッツで人が殺されていることはない、つまり書物を読んだり遺跡を見ることでしか我々は史実を理解することは出来ないのである。何故ドラマ版シンドラーのリストなのか、それは"百聞は一見にしかず"よりも上の次元、すなわちキャラクターとしての当事者性がこのドラマにあるからである。本来フィクションというのは多少ご都合主義である。嫌われるやつが何かを観た後に言う「こうなると思ったー」もフィクションだから許される。しかし当ドラマシリーズにあるのは絶対的なリアル。トータル5時間かそこらで当時何があったのか、誰が何を思ったのか、を追体験することができた。

分厚い世界史の教科書で一ページにも満たないであろうチェルノブイリの事故には5時間にまとまったのが奇跡と言える程の戦いがあった。
シンドラーのリストとともに義務教育に取り入れれば人類は幾分ましになりそうだ。
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