Tai

チェルノブイリのTaiのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
4.3
世界初の原発事故。一体そこでは何が起きていたのかーー

『ゲーム・オブ・スローンズ』に入っていた予告が非常に気になったので鑑賞!
ドラマは結末までの拘束時間が長いので嫌煙しがちですが、本作は全5話というのは個人的にポイント高いですね◎

1986年4月26日深夜1時23分(モスクワ時間)この人々が寝静まった中で、その事故は起きました。
場所はウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルノブイリ原子力発電所。
そこで起きた突然の爆発による火災とともに、大量の放射性物質が放出されたのです。
その爆発は何故起きたのか?何をもたらしたのか?30年以上の時を経てのドラマ化です。

この事故については中学生の時に漫画化されたものを読んだことがあったので知ってはいました。
しかし、その本はその国民目線で描かれたもので、事故の原因というよりは、どれだけの被害を出したのかということで原発事故の恐ろしさを物語っているものでした。
対して本作では現場では何が起きていたのかを追及!
〝起こるはずのない事故〟に現場あまりにも無力だったということが、より絶望感を掻き立ててきました。
目に見える炎や、異臭のする毒ガスと違い、見えないし匂いもしないのに生命を奪う放射性物質の恐ろしさはとても言葉で表現できるものではありません。
間違いが起こればこんなにも広範囲に空間も時間も浸食してしまう物質を扱っているということは、我が国でも肝に銘じなければいけないことですよね。

東日本大震災の時もチェルノブイリの事を知ってはいたので、福島第一原子力発電所事故の発生を聞いたときはかなり肝が冷えました。
メルトダウンの恐怖もありましたが、その数年後への不安が襲ってきたんですよね。
チェルノブイリでの恐ろしさって事故の現場はもちろんなんですけど、その後の影響も見過ごすことはできないんです。
事故から数年経ってから避難民の生命も奪われる。放射性物質により身体は白血病や癌を発病させ、それは子供達の身体を蝕んでもいました。
その数は数百〜数千人と言われていましたが、直接事故が原因であると証明できない為に、未だに正確な数字は分からず、この被害推定は20年後のWHOによる調査ではヨーロッパ諸国全体では1万6千件にものぼると言われています(この事故による放射能物質は事故同年5月3日に日本でも確認されています)
日本の原発事故からまもなく10年経とうとしている日本では、この健康被害について何も言われてませんが、そこは問題ないのかが非常に疑問です。
原発事故と病が紐付けできないからといって棚上げしていないのか?便利さを優先して、危険なシステムを放置していないないか?不安を思えばキリがなくなりますね。


未だ解決したとは言い難いチェルノブイリ原発事故ですが、その原因が本作の通りならば、これは非常に許し難い衝撃的な結末でした。
Tai

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