たむ

チェルノブイリのたむのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
4.6
ゴールデンウィークは普段避けてしまいがちな超長編やテレビシリーズの一気観に適した時期です。

エミー賞独占、HBOのミニシリーズで、史上最高傑作の一本ともいわれるチェルノブイリ原発事故を恐ろしいまでの緊迫感で描き切る全5話321分。

全体の構成が素晴らしく、1988年の博士の自殺から、何もわからない状況である1986年の爆発に繋がります。
1話はまさに地獄絵図。
極限状況での人々の行動が裏目に出る手に追えなくなって行く怖さ。
2話以降は事態の収集から裁判まで圧倒的な緊張感で、全てを知った後、もう一度観ようかと思いますが、あまりにも恐ろしい内容に2度目はかなりしんどいです。

起きてしまった事を英雄的な行動で事態を収めようとする中、政治や思惑が悪い方向へさらに押し進めてしまう。
現場の声の大切さが描かれる中、権力者によって踏み躙られて行くこの状況は、本当に嫌悪感しかないです。
そのテーマは、コロナ禍の世界でも繰り返されている事に学ばない人間という存在の絶望感とそれでもよくしようと行動する人々の希望もあります。

ステラン・スカルスガルドさんとエミリー・ワトソンさんが事態を収集すべく動く政治家と科学者を演じていますが、『奇跡の海』の夫婦が一緒に行動している姿に何故かジーンときます。

余談ですが、私のベストムービーもゴールデンウィーク向けの3時間以上の映画トップ10にしましたので、ぜひ参考にしていただければうれしいです。
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