テリーマザーファッカー虎

ウルトラマンタイガのテリーマザーファッカー虎のレビュー・感想・評価

ウルトラマンタイガ(2019年製作のドラマ)
3.4
なんとタロウの息子が主人公というニュージェネシリーズの中でも最も昭和シリーズとの繋がりが深い設定かつ第1話でニュージェネシリーズの全ウルトラマンが登場するなど、令和1発目のシリーズ総決算的な作品を期待したのですが、実際は想像している内容とはいい意味でも悪い意味でも角度の違う作品になっていました。

前作『ウルトラマンR/B』はメタ的な要素も孕んだコメディタッチの作品でしたが、本作は宇宙人への差別や偏見が根底にある世界で地球人との共存を願う若者達が主人公という前作とは真逆のスゴく現実問題にも近いシリアスな作風になっていました。
本作にも関わりの深い『ウルトラマン タロウ』といえば当時は子供向け過ぎるというように批判されることが多かったですが、本作は逆にシリアス過ぎてタロウの息子の物語に求める要素では無かったような気もしました。

物語はかなりシリアスかつハードで1話完結ながら非常に後味の悪い幕引きをする回があったりするのも意外でした。
特に第2話『トレギア』と第3話『星の復讐者』はシリーズが始まっていきなり後味の悪い話が2話も続くというかなりげんなりするシリーズ構成になっていました。

ですが本作でもしっかり神回は用意されており第10話『夕映えの戦士』は作品の持つシリアスさと、旧作である『帰ってきたウルトラマン』へのオマージュに溢れていて素晴らしい回でした。なんともやりきれないラストも相まってかなりグッと来ましたし、同じく『帰ってきたウルトラマン』のオマージュが見受けられる『ダッコングは謎だ』はなんと『夕陽に立つウルトラマン』がかかるというファン泣かせな演出も。

ただ序盤に出てくる怪獣オークションやクライマックスで共闘する宇宙人達などしっかり描けばもっと面白かった要素も多分あるし、せっかく3人のウルトラマンが登場する作品なのに主人公とウルトラマン3人の関係性があまり詳細に描かれていないのも残念でしたし、トレギアもただの厄介な人以上のドラマが無くてそれも残念でした。
色々と持て余している要素が多い気がしました。

ただ霧崎役の七瀬公の怪演やウルトラマングルーブの応用であるフルCGのウルトラマンなど魅力的な部分しっかりある作品でした。かなり気合いの入った劇場版でどれだけ挽回するかは楽しみです。