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ロキ シーズン1のmatchypotterのレビュー・感想・評価

ロキ シーズン1(2021年製作のドラマ)
4.1
久しぶりにトムヒ、ロキに会えて良かった。

もともとこれらのMarvelオリジナルドラマを観たくてDisney+に入ったようなもんだが、色々寄り道、つまみ食いしまくってやっとここに辿り着けた。
そして、Disney+のMarvelオリジナルのドラマは6話ぐらいでコンパクトであることを知り、俄然観る気が増した。

ロキ、あの『アベンジャーズ』での戦いの後に彼が逃亡したことによる起きた新たな時間軸でおきる話。

この“新たな時間軸”がこの作品の切り口。
このシリーズで既に“マルチバース”や“時間軸”“分岐点”みたいなことが描かれている。

個人的にはこのシリーズがリリースされた直後に食いついて観ずに結果的に『スパイダーマン』『ドクターストレンジ』の世界を先んじて体験したことで、時系列的にはこのシリーズを遡ってみた意義があった気がする。

とても堪能できたと思う。

ロキ、“裏切りの神”。
自分の本意だろうと不本意だろうと信頼を寄せようと寄せまいと、結果的に相手がそれをして欲しくないことを選び、混沌を持ち込む存在。

その性質や存在価値自体がテーマとなる本作。
しかも時間軸の要素を入れることで、時間軸ごとのロキが存在していることになる。

その時間の分岐を防ぎ、常に1本の本流の神聖時間軸を保つことを使命にする謎の組織“TVA”。
彼らは“タイムキーパー”なる時間の始まりと過程と終わりを司る絶対的な存在の絶対的な思想のもとで暗躍。
その思想の妨げとなる時間の分岐を生む存在、つまり、“ロキ”を目の敵にする。

そこで他のロキ同様に拿捕されたのが、“我らの”ロキ。
このロキが、TVAの職員メビウス、オーウェンウィルソンと関係を築きながら他の“ロキ”の取り締まりを経て、時間軸や己の存在価値、自分のアイデンティティを主観的、且つ、客観的に自分を見つめ、何かを見つけるようなシリーズ。

ぶっちゃけ序盤は何のことかよく分からない。
とにかく、トムヒとオーウェンがこの世界観をコメディータッチで掛け合いしてクスクス楽しんでるような雰囲気にほっこりする。最初はそこに終始する。

オーウェンウィルソン、もともと好きだけど、本作では少し渋みが増して、淡々としててロキとの相性が抜群。

しかしながら、そこから、たった6話でものすごく話が飛躍していく。その飛躍が、何でかついて行けちゃう。
それは、その2人の世界観にいつのまにか引きずられていたということと、ここまでのMarvelの作品の歴史がこちらの理解力を引き上げた。

それが単純ではないけどわかるように伝わってくるギリギリラインで伝わってくる絶妙さにワクワクする。

1話1話、キャラとキャラが談話するシーンが多い。この世界観の説明がてらだったり、ロキという人間性の改めてのおさらいだったり、やや難解な時間軸の解釈や今に至るまでの経緯だったり。

その辺がMarvelの映画には実はあまりなかったことだから、少し流れが停滞する雰囲気こそあれ、これはこれで新鮮だった。

その代わり談話がある分、野外活動になると恐るべき開放的な世界が広がってたのも良い。
点々とする世界のスケール、時間軸を武器に、その壮大な自分探しの冒険感が無限に広がってた。スゴい。

コメディに終始しながら、シリアスな面もある。
嘘をつきたいわけではないが結果的に嘘をつくことを選び、嘘をついたと思わせてしまう。
人を信頼したいが、結果的に裏切ることを選び、裏切ったと思わせてしまう。
調子が良いようで、結果的に逼迫してる窮地に陥り、彼なりに身を挺してもなんだかんだと自分は生き延びてしまう。

このロキの表裏一体のキャラクター性がコンパクトに、そして、存分に楽しめるシリーズ。

本当に、逆にちょっと遅れて観て良かった。
次は『ワンダビジョン』かな。楽しみ。
そして、ロキも、、、、ある、、、、のかな。


F:1756
M:12905
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