バイオリンを題材にしていて一見とっつきにくいのかなと思っていたが、見てみるとどんどん引き込まれた。年齢、性別を超えた人間愛がどこまでも深い。やはり心理描写を大切にしてる脚本家さんだなぁと思うし、それに応えられるだけの演技力を持った3人が素晴らしい。「落ち込んだ時に音楽と出会うんですよね」というセリフ通り、物語の序盤は全員が何かどうにもならない感情を抱えていて音楽や人間関係を通して救われていく様が丁寧に描かれていた。後半は幸恵さん同様「きゃーーーー！！」と言いたくなるような甘酸っぱい恋愛模様もキュンキュンするのだが、そこだけがこの作品の全てではなくて、自分には何もないと思っていた主人公が「意識しなくてもサラッと人を救っていく、そういうところがすごい」と本質を見てもらえる、分かってもらえる相手と出会ったというところにグッとくる。自分では自分の良さってなかなか気が付かないものだよなぁと主人公にすごく感情移入したし、先のことを考えて不安になる気持ち、情緒不安定になる気持ちがリアルに分かって展開も全く不自然ではない。波瑠の細かい表情が素晴らしく、グイグイ物語に引き込まれて一気に見てしまった。見終わった後もジーンと満たされた気持ちになる良い作品だった。
