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ウォッチメンのsatoshiのレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2019年製作のドラマ)
4.8
 アラン・ムーアの「ウォッチメン」は、「現実にヒーローがいたら?」を描いた作品でした。「世界を平和にする」という最終目的を達成するため、ヒーローは何をするのだろうか?ということを突き詰めた内容で、それまでのアメコミヒーローものを脱構築した作品でした。今回のTVドラマ版は、まさに現代にヒーローがいたらという点を描いていた作品で、「ウォッチメン」のドラマ版として最適な思想のもと映像化された作品でした。

 本作のテーマは人種差別。黒人への差別の歴史を軸に語られていきます。ヒーローものの定番である「覆面」に本作で理由付けがされるのですが、このテーマとしっかりと結び付いたものでした。差別の描写や差別をする側の発言もとてもリアルで、トランプ大統領が言ってることと被りますし、何より日本国内にいる人間の言動とも被ります。あのような台詞を聞くと、こういう意識はどの国でも変わらないんだなぁと思わせられます。

 もちろん、ファンサービスも十分。原作のパロディ・シーンもたっぷりあり、オマージュ回もあります。素晴らしかったのが第8話。原作の「時計職人」のオマージュなのですが、Dr.マンハッタンがアンジェラと恋に落ち、悲劇的な別れを経験するまでを「Dr.マンハッタン視点」で描いていて、そこにタイムパラドックス要素まで入れてくるという濃密な傑作でした。

 終わり方は、もちろんパロディなので、「ウォッチメン」への敬意を最大限に払ったもの。「民衆」へ希望を託して終わっていました。アレをどうするかは、私たち次第なのだろうと思います。

 「ウォッチメン」のパロディとして、そして続編として、私は文句なしの作品でした。ただ、ロールシャッハがちょっと報われてない気も…。