トランティニャン

ウォッチメンのトランティニャンのレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2019年製作のドラマ)
4.0
予想通りエミー賞を獲った本作。自分は映画も原作も未見のまま突入。せめて映画は観るべきだったか。
この「続編」が生まれた背景は重々理解しつつも、序盤はロバート・レッドフォードが大統領の並行世界のディテールの一つひとつにぶつかってしまい(なぜにイカが降る?とか携帯は?とか)、突然挿入されるオジマンディアスのパートに大混乱(優雅なクラシックが流れ、キューブリック的な演出で面白かったけれども)したり。

映画も原作も未見でも、序盤苦労すれば、5話からは伏線の丁寧な回収と毎話「これ、何の物語だっけ」と忘れそうになるほどの豊かな語り口による傑作が連発される。
フーデッド・ジャスティスの誕生を描いた第6話は誰もが唸る素晴らしさ。ヒーローになるには、覆面を被らなければ身を守れなかった。ヒーローとしての期待に応えるには、黒人であることを明かすことはできなかった。あまりにも重く暗い歴史が開陳されることになる。

加え、個人的には巨大イカ襲来のPTSDに苦しむルッキング・グラスが主人公の第5話も好き。イカじゃなかったらありがちだけど非常にアメリカ的だし、オジマンディアスの大義の下で苦しむ個を描くことは、後の展開にも大きな心理的影響を及ぼす。
満を持してDr.マンハッタンが登場し、伏線を回収しながら時間を超越したラブストーリーになる第8話も秀逸。
登場人物の丁寧な掘り下げは『LOST』のショーランナーでもあるデイモン・リンデロフらしいし、彼が書いた『プロメテウス』のエンジニアと、Dr.マンハッタンの見た目とやってることが被ってしょうがない。。

もう一度初回から観直さなければ。。