そのじつ

闇の伴走者のそのじつのレビュー・感想・評価

闇の伴走者(2015年製作のドラマ)
3.7
イヤ〜よくできたドラマ。数々のヒット漫画の原作者として名高い長崎尚志原作だけある。物語の切り口といい、話の仕掛け・展開どれもメチャ気が利いていてレベルが高い。

有名漫画家の未発表作品について調査を依頼された女性調査員(松下奈緒)と、有能かつ変人の名物編集者(古田新太)がコンビを組んで謎を追う!

まずプライムの選択画面に出る主演ふたり並びの絵面で「おもしろそう!」と思わせられる。予感は当たって古田新太の変人編集者ぶりと存在感でガッチリ心掴まれた。自分も漫画が好きなので、彼がまくしたてる漫画や編集に関する知識やそれに基づいた発見が面白くてしょうがない。見た目ブサイクな中年男だが、だんだんカッコよく見えてきてしまう。

もう一つガッチリ持っていかれたのは、手塚治虫の『ペーター・キュルテンの記録』をこの話のテーマに持って来たことだ。この物語は、この作品があったから始まったと言っても過言ではない。この作品の影響下にある人々の行動や思考を見る事になる。
自分自身も思春期のこの作品に大きな衝撃を受けたひとりだ。だからこのドラマに飛びついた訳だし、人間の中にある悪とはなんだろう?という思考の材料として未だにチラつくことがある。

なぜ手塚治虫がこの作品を描いたのか、ある編集者がドラマのなかでひとつの解釈を述べていたが、醍醐(古田新太)は別の意見を持っていると言っていた。私にはアレは手塚の暗い一面に通底しているのだと思える。また長崎尚志はその人間の中に切り離し難く存在する「暗い部分」を追求し続けてきた作家だと思える。