歩く肉

アンビリーバブル たった1つの真実の歩く肉のレビュー・感想・評価

4.6
痛みに対するリアクションは人それぞれで、ひとは他人の痛みに鈍感だ。自分のものさしで相手の傷をはかるべきではないのに、知らず知らずのうちに相手を自分の型にはめて考えがちになってしまう。マリーの元義母とかパーカー刑事とか横のじいさん(名前忘れた)刑事とか決して悪意を持っているわけではないけれど、所詮は自分の都合を最優先しているし、本当に理解しようともしない。特に元義母は自分も若い頃にデートレイプされたことあるから、マリーの反応をあれこれ指摘するのはすごく腹正しい。誰もあなたと同じようなやり方で痛みと向き合っているわけじゃないのに。
以前フラワーデモに参加したとき、ある女性が被害に遭ったことを友達に相談したら、なぜ男ばかりの集まりに行ったの?そうなるの当たり前じゃない?と言われたらしく、すごく傷つけられたとおっしゃっていた。なぜ当たり前なんだ、なぜ容認しちゃうんだ、男は自分の性衝動や性器もコントロールできないのか。容認する社会があるからやってもいいんだという考えにつながるし、意図せずにもセカンドレイプの加害者になるんだ。グレースたちの「自分の身に置き換えて考えてみてよ」というような言葉は至極もっともなんだが、それはどれだけの人ができているんだろう。
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