いよら

悪との距離のいよらのレビュー・感想・評価

悪との距離(2019年製作のドラマ)
4.6
台湾ドラマです。

無差別殺人事件の被害者家族と加害者家族の話を軸に、それに関わる弁護士や、報道のあり方、精神病、ネットや社会の目などが描かれている作品です。

誰かをヒーロー扱いしたり、逆に完全悪として描かれたりはしていません。
殺人事件の犯人だってやったこと自体は決して正当化されるものではないし、裁かれて当然ではあるけれど、理由を追及することや繰り返さないためにどうしたらいいのかと求める姿勢も大事なんだと感じます。犯罪者には権利がないとするのはおかしいと訴える弁護士の姿も印象的です。
この弁護士だって、清廉な人ではありますが、世間的には悪人と言われる人たちを弁護するために良い印象を持たれる人物ではありません。凶悪犯罪の犯人の刑を軽くしようとしているのだから。でも彼がどうしてそういう道を選んだのか、そして、その道を選んだがために、家族との距離ができてしまうことになるのは切ないですね。

また被害者家族、加害者家族のそれぞれの事件後の生活も印象的です。加害者家族は加害者なのか。加害者家族まで罪を背負い罰を受ける必要があるのか。世間に追われ、隠れて生活することしかできない家族。家族でいることそのことだけで罪になるのか。個人的には、犯人と家族は別物じゃないか、家族にまで罪はないんじゃないかと思うのですが、被害者にとってはそういうわけにもいかないのかな?どこかに捌け口は必要なのかもしれないし、関係ないっていうことは許せないのかもしれないですね。

精神病に対しても、怖いとか犯罪者になりやすいかもしれない、という側面とともに、その家族のあり方とかも描かれているので、いろんなことを考えさせられます。ちゃんと治療すれば決して怖いものではない。一方で、精神疾患があることで減刑されてしまうことへの問題も、社会的にも本人の問題としても描かれるので深いなぁと思います。また、精神疾患患者が家族にいることでの周りの目とかも。

報道のあり方としても、加害者家族に向ける目線、被害者家族に向ける目線、精神疾患、諸々。この作品ではテレビ報道なので、インパクト重視だったりするから、余計かな?報道が社会に与える影響の大きさがよくわかります。
またこの話の各話のオープニングでネットの書き込みが出てきて、それに対するいいねから始まるっていうのも印象的でした。

それぞれのキャラクターが微妙な感じでリンクして繋がっています。登場人物は多いですが、どのキャラクターも大事な役割を担っていて、似たキャラクターは全くいません。
どのキャラクターも欠点だったり、間違いがあったり、悩み苦しんで、でも懸命に前を向うとしています。

ラストで希望が持てるのも良かったですね。


悪との距離。悪ってなんなんだろう。人が悪なのか、やったことが悪なのか。やったことが悪ければその人は悪?その人に関わる人も悪?難しい問題ですね。