松田龍平の棒読み感がいい意味で味を出している。
文筆家であり政治に関心がない芥川が、中国の混乱を感じている様をうまく演じていると思う。
これが、棒読みではなく熱や感情がこもった話し方になると、文筆家としてではなく"特派員"感が強く出てしまうのでベストな演技だったと思う。
上海の旧疎開地を訪れたことがあるが、雑踏とした感じや、劇中で芥川が触れていた、何もかも騒がしく派手で、しかし、子供の泣き声なども気にしない不干渉な感じというのもうまく表現されているドラマだった。どのように撮影したのか気になる。
この時代の面影が今の上海にもある気がする。(現在の上海の雰囲気しか知らず、当時の上海を知らないのであくまで想像だが)
一つ思ったのは冒頭に出てくるインド人が、インドでは少数のシク教徒だったが当時の上海にいたのかは疑問。インド人=シク教徒という安易なステレオタイプでなければいい。
芥川が中国という歴史もある大国の混乱や日本、世界の混乱を見て自殺してしまったのもこのドラマを見て少しわかる気がした。