なっこ

ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜A Stranger in Shanghaiのなっこのレビュー・感想・評価

3.0
画面近くに座って街並みに一緒に入り込むように見た。私も彼と一緒に過去の上海ストレンジャーとなる。
ネットで検索してたら8K上映イベントもやってた情報も引っかかってきた、テレビドラマだけど映画並みに素晴らしい作品だと思う。映画館でこの映像と音楽に浸りきって見たらまた違った感想だったかもしれない。
自宅のリビングでも十分当時の中国の水辺に連れて行ってもらえた気分。ほぼ全編中国ロケらしいけど、ヴェネツィアみたいに船で移動するようなところは一体どこなんだろう。ラストシーンもそこから風を感じるくらい静かで素敵な面だった、何時間もそのままカメラを据えてて欲しい、今流行りの焚き火映像みたいにずっと見ていたかった。
彼が訪れる知識人たちの家はどれもとても立派で建物自体にも見所があった。土砂降りの雨が降りしきる様子が何故か印象に残っている。そこで語られる桃太郎の話も。
どっかの家の前にあったおっきな狛犬みたいな像があまりに可愛くて、もっと映して欲しかった。夜の歓楽街のシーンもオレンジの街灯の色が濡れた路面に反射してとても幻想的で美しかった。

/あらすじ/(NHKHPより)

1921(大正10)年、芥川龍之介(当時29歳)は新聞社の特派員として上海に渡る。子どものころから「西遊記」などの古典に親しんだ芥川にとって、そこは憧れの理想郷のはずだった。だが、当時の中国は動乱のさなか。清朝を倒した革命は、やがて軍閥の割拠という混乱に至り、西欧諸国や日本が上海の租界をわがもの顔で支配し、民衆は壮絶な貧困にあえいでいた。
理想と現実のギャップに絶望すら覚えながらも、芥川の知性は巨龍・中国の精神世界へと分け入っていく。そこで出会うのは、革命の世で政治と向き合う知識人たちと、裏路地で日々をしたたかに生き抜く妓楼のひとびとだった…。

/感想/
原作未読。青空文庫にもあったけど紀行文が文庫で出てるみたいなのでそちらで読んでみようかな。
映像と音楽がとても美しいのでそれだけでお腹いっぱい。storyは視点的人物に共感しながらどこへ向かうのか分からずただ着いていく感じ。この時代の中国についてフラットな目で見ることは当時の日本人も今の日本人でもとても難しいはず、だからたんたんと見ていくという感じがした。当時の雰囲気が垣間見えて、芥川ってこんな人だったのかもしれないと、ちょっと身近に感じられた。
コロナになって海外にも行けない中では、ちょっとした旅気分で見られるこの作品は需要がありそう。また見返したい作品のひとつ。
なっこ

なっこ