うっちー

ザ・モーニングショー シーズン1のうっちーのレビュー・感想・評価

4.5
 宇多丸氏の度重なる大プッシュを耳にし、存在さえあまり知らなかったアップルTVに加入、視聴開始。結果、大当たり。今年観た中でも抜群の破壊力があったし、考えさせられた。

 初めはなんとなく低調。アニストン演じるアレックスの傲慢な態度とか、その周りの空気とかに疲れるというか。それが、リース・ウィザースプーンのブラッドリーが絡んでくるあたりから、女王様でいられなくなり、その上私生活での厳しい側面も織り込まれ、安定感を欠いてゆく。この辺りの揺れが、怖くもあり、面白くもある。
 アレックスとブラッドリー、最初の出会いと相性は悪そうだったが、運命の悪戯から二人は仕事上のライバルに。反目し合いながらも、利用し合い、いつしか部分的には歩みよろうとするふたりを演じる両女優が凄い。お互いのあらゆる特徴を曝け出すような演技合戦。これはかなり消耗しただろうなぁ💦

 基本的にはセクハラ疑惑が巻き起こす騒動を描いてるのだけど、問題はありとあらゆる細部までに及び、もはやジェンダーの範疇を超え、政治や生き方の問題にまど及ぶ。個人的に刺さったのは、わかりやすさ、楽しさを追求する事でなくす報道の意義や価値を問いただすようなエピソード。これ、アメリカはともかく日本の新聞やテレビなどの業界人が観て、考えるべき。また、罪を見逃す、声をあげないことの罪についても重い問いかけを残す。

 シリアスで重いのだけど、特にアレックスのブチ切れ言動が良かった。娘に向かって“クソガキ“、生放送中での取り乱し、最後の遮断前のウロウロ‼️ 100%共感できるとかではないが、心から成り切っての演技だとみた。凄いな、女ってすごいな、と。最初ブチ切れキャラのブラッドリーが、アレックスと組んで、むしろ落ち着いた人になる感じも秀逸。ふたりがとにかく素晴らしかった。

 優しく節度のあるお天気キャスター、ヤンコと若手女子のピュアな恋愛にもグッときた。

 とにかく、いま見たほうが良いドラマ。Fuck the ホモソーシャル‼️
うっちー

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