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ザ・モーニングショー シーズン1のmegurosのレビュー・感想・評価

4.0
ハーヴェイ・ワインスタインの性犯罪スキャンダルが2017年。そこから#MeTooは性犯罪&セクハラの世界的な告発運動となって広がった。本作が描くのはその性犯罪における”実行犯”についてではなく、そうした性犯罪を黙認し、黙認することで成功してきた女性の側の”共犯者”、その彼女たちも含めて性犯罪を隠蔽してきた「沈黙の文化」を許すなということだった。

本作は朝の人気長寿番組の司会者ミッチが性犯罪の告発を受け、番組を降板させられる所から始まる。”アメリカの家族”の理想を体現してきた番組は脆くも崩れ、ミッチのみならず相方アレックスの私生活、家族生活が同時に崩壊していく。アレックスは主人公であるものの、最後の最後の瞬間まで事実上悪役でもあるため(構造上仕方ないのかもしれないが)途中とても感情移入が難しくなるのだが、それでもジェニファー・アニストンはギリギリのシンパシーを残す役柄を主演として演じ切り、さらにはセンシティブなテーマを長尺の連続ドラマ形式で仕切ったわけだから恐れ入る。制作総指揮にも名を連ね、重要回の監督を務めたミミ・レダーはディープ・インパクト、最近だとRGBの劇映画「ビリーブ」とかを撮ってた人。クリエイターのジェイ・カーソンはNetflixでハウス・オブ・カーズ仕掛けた人っぽい...(強い

エンタメ部門から報道部門に移ってきた局の重役コリーを演じたビリー・クラダップが良かった。「混沌は新しいコカイン」だと嘯き、ジャーナリズムではなく(局の膿も含めた)エンターテイメントを報道の枠の中で見せていこうとするスタイルは現代批評的。この混沌の様子を、台風や山火事など現代アメリカが向き合う自然災害とも重ねて脚本にするなど、そうした丁寧な話運びも好感が持てた。
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